イナズマイレブン～脅威の侵略者編～第7巻 (ページ24)

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（３０２）常に痛みをページ24

聖羅「…………。ったく、普段バカのクセに」

空翼が、痛みを感じないと打ち明けてくれたあの時と同じ表情をする。

ってことは、それと同じくらいコイツにとって気にしているのかもしれないな。

聖羅「……あたしの髪には、神経が通っている」

円堂「神経が……？」

聖羅「人間の感覚神経は、ほとんどが皮膚からの感覚器官なんだろ。

けど、髪は皮膚じゃねぇから触られたら痛いし、引っ張ったら地獄だ。

それこそ本気で死にたくなるくらい痛くて、いっそのこと殺してくれた方がマシに思うくらいにな。

あたしは髪が長かった時期も、曖昧でちゃんと覚えてねーけどあった気がする。

長かった時は神経から遠ざかるから、感覚もほとんどなかった」

円堂「…………」

聖羅「……けど」

言いながら、空翼はフードに手をかけて外した。

毛先が水色の白銀の髪と、ギターピックの右イヤリングが、月明かりで鈍く煌(ひか)る。

聖羅「それはそれで仕方ない、ってあたしは思ってる。髪も、肌の感覚が鈍いのも。
それがあたしにとって当たり前だし、事実だし、これが現実だから。
……ま、こっちは人間と同じだけど」

空翼がべろっと舌を出す。

舌の中央に、銀の玉が唾液で濡れて光っていた。

円堂「これ……、ピアス？」

聖羅「そう」

円堂「……痛く、ないのか？舌は感覚あるんだろ？」

聖羅「だから、常に痛みがあるのにイミあんの。あたしからすれば」

円堂「そう、……なのか？」

空翼は「あぁ」とだけ言って、空を見上げた。

冷たい空気の中だからか、はたまた自然の中だからか、星がたくさん見える。

彼女の瞳は……、去る者追わず、来る者拒むといった、光を寄せ付けないように細められていた。

代わりに、光を跳ね返す髪が拒絶を示すように煌めいている。

聖羅「…………。だからアクトに執着するしかない」

円堂「アクト……って、電脳ゲームの？」

聖羅「そう。アクトは、嘘偽りのない空間だから、生きてるって実感できる」

円堂「……オレは、そうは思わないけどなぁ」

聖羅「…………。アンタ、前にあたしの知らないこと教えるって言っただろ」

円堂「……？あぁ、言ったぞ」

聖羅「それって、つまりアンタはあたしのなにを知ってて言ってるワケ」

円堂「……は？」