イナズマイレブン～脅威の侵略者編～第7巻 (ページ3)

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（２８１）機嫌の変化ページ3

荒く吹きすさぶ雪も止み、空にはいつの間にか青が広がっていた。

途中まで乗せた少年は、歩いて行けるとキャラバンから降ろしてすでに別れた。

チトセ「おいキョウ、起きろ。そろそろ着くぞ」

カヤ「んおぉ～……」

夜日名「…………。相当寝起きが悪いのですね……」

カヤ「おぉ～……薫っちおはよおー……」

円堂「……なぁ、空翼」

水色のヘッドフォンを付けた空翼の袖を引っ張って呼ぶ。

それに応じるように、空翼は音楽を止めてヘッドフォンを首に下ろした。

耳が塞がった状態で呼んでも聞こえないことくらい、鬼道もわかるはずなんだけどなあ……。

円堂「寒くないか？さっき鬼道もお前の事呼んでたんだけどさ」

聖羅「…………」

返事も無しにオレをじっとりと見る。

……それでハッと思い出した。

痛みを感じないってことは、肌で寒いとか暑いとかも感じないんだ……。

……気、悪くしたかな……？

……と思いきや。

聖羅「別に」

円堂「……！」

空翼は気を悪くするどころか、いつもの無表情で言葉を返してきた。

いつもなら返事どころか人の話を聞きすらしなかったのに……その意外性にオレは嬉しくなった。

円堂「そ、そっか。寒かったら言えよ。手とかだったらあっためられるからさ！」

聖羅「そこまでするとさすがにウゼーわ」

円堂「素手で触らなくても、バンテージ巻いてる掌とかなら大丈夫だろ？」

聖羅「じゃあ、なに。体が冷たかったら抱きしめてくれんの？」

円堂「空翼がOKならなっ」

聖羅「そんなの知らねーし」

無愛想なのも変わらない。

けど、感情を表に出さない空翼はいくつかの仕草で無意識に感情を示してることがわかった。

例えばイライラしてる時の場合……

聖羅『〰︎〰︎〰︎〰︎！』

円堂『…………(汗)』

人目のつかない場所で壁を引っ掻いてたりとか目付きが悪くなったりする。

そうじゃない時は……、

円堂「そういや、空翼って犬飼ってたんだな。それ」

紺色のポメラニアンで、大きな黒い目。

ピンク色の舌先がちょっと出ているのが愛らしく、首には銀のスパイクのトゲが付いた黒い首輪をした犬だ。

今だって、大切そうにそれは彼女の膝で丸まって目を閉じている。

聖羅「飼ってるって……ペットじゃねーし。生身の犬じゃねーから」

円堂「へ？」

聖羅「蓮」

オレの言ったそばから空翼が犬に呼びかける。

犬は黒々とした目をぱちっと開ける。