第9夜 ページ9
「というわけで皆さんまた後ほど」
じゃっ、と踵を返すA。後ほど、というのはきっと食事の際にまた会いましょ〜的な意味だと思われる。
残された4人はしばらく彼女の後ろ姿を見守っていた。途中何かに躓いてよろけたのを見逃さなかったが、本人が一瞬頭を抱えたかと思うと何事も無かったかのように歩き出したので今のは見なかったことにした。
(やっっだ、何もないとこで躓いちゃったよ。視線感じるから絶対皆見てた……いや、大丈夫、問題ない。え、躓いた? 誰が? 私は何も知らん、よし)
こんなことを脳内で思っているとは誰も予想しないことだろう。彼女は少し、いやかなり特殊なのである。
✼ ✼ ✼
「さて、次は…」
「あ、Aさん」
目の前に立っているのは自分の身長を優に超えているマスルール。お姫様抱っこを快く(?)してくれた人物である。
「マスルールくんや、この紙が何か分かるね?」
「あっ…(察し)」
「いざ」
Aは両手を広げ、突進する。彼は他の人とは少し違う、戦闘民族ファナリスだ。ちょっと強めくらいが丁度いい。ましてやAは自称非戦闘員。そんな彼女の突進など軽い軽い。軽すぎてわたあめが作れそうだ。……ちょっと何言ってるか分からないな。
「どうスか」
「うむ、問題ない」
ジャーファルさんと違って君は睡眠量も多いからね、私は安心だ、と頷いている。なんだかんだ同い歳なのでノリが分かる。楽しい。
でもやっぱりジャーファルさんが1番好きなんだよなあ。…あ、感想はいらん。
Aはペンをささっと動かした。
✼ ✼ ✼
「お、ジャーファルさん発見」
マスルールと別れたあと、Aの本命 (後ろ姿) が見つかった。ざっと2, 30メートルくらい離れているだろうか。
この距離はAにとってとても好都合だった。軽い足取りで早速向かう。
「っ…!」
バッとジャーファルは人の気配に勘づいて振り向く……が、そこには誰もいない。と同時に腰周りに何かが巻き付いている感覚が。
「A!」
「俊敏さがやや低下。あちゃ、ストレートネックになりかけてる。こりゃいかん。ペンだこ発見。髪ツヤが悪い、目の下の濃ゆい隈…それから」
「……A、口に出すのはその辺にしてください。」
「ダメですよ、言った方が覚えれるんですから」
「ならばせめて事前に報告してください」
「ふむ、記憶力の低下、と」
「なっっんでそうなるんです!?」
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むらてゃ(プロフ) - 続き楽しみにまってます (3月16日 3時) (レス) id: d9254dd9a4 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - ジャーファルさん尊い (8月2日 16時) (レス) @page37 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白咲 紫 | 作成日時:2022年3月27日 14時