お姫様抱っこしてください【マギ】 (ページ29)

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第29夜ページ29

　ヤムライハが研究に没頭して10日後。さすがに、こもりきりで心配になったAは彼女の部屋を訪れた。

すると扉の前にはなんと我らがイケメン、ジャーファルがいるではないか。これは話しかけない手はない、というわけで声をかけようとしたら先にあちらから声がかかった。

「A」

「こんにちは、ジャーファルさん。同じタイミングだなんて運命ですね」

「あなたはまたそういうことをサラッと…」

「ふへへ、とりあえずヤムさんの様子見ましょ」

通常運転の彼女にどこか安心しつつ、ノックをして2人同時に部屋に入る。

　するとなんということでしょう、魔法陣が光ったかと思うとジャーファルとAの髪がそれはそれは長ーく伸びたではないか。

「うわァァァァ!! ジャーファルさんとAの頭髪がああーっっ！！」

～その14日後には～

「うわァァァ、今度はヒナホホさんの頭髪がぁぁ！！」

～ﾝﾝ 19日後～

「シンドバッド王の眉毛があああーっ!!!」

ありとあらゆる髪と眉毛が伸びたのであった。

* * *

「いい加減にしなさい、ヤムライハ!!」

「やっ、ジャーファルさん切らないで！」

「いいえ、切ります！」

「ひーーん」

「イケてる…」

「イケてません我が王よ」

　久しぶりのカオスである。

　ジャーファルはヤムライハに怒りながら伸びた髪を縄鏢でジョキン、ジョキンと切っていた。

それをAは泣きながら拾い集め、シンドバッド王は女官の手にある鏡を見てキメ顔をし、その女官は困惑した表情でシンドバッドを見やる。

「まあまあ怒るなジャーファル。
ヤムライハ…昔が懐かしくなったのか？いつも国事のためにシンドリアにしばりつけてすまない。そろそろおまえも少し故郷を見に行くぐらいしてもいい頃なんじゃないかと、近頃のおまえを見てずっと考えていたんだ…」

「お…王よ……す゛み゛ま゛せ゛ん゛……」

「(シン様が珍しく男前を発揮している。いやそれよりも…) あーん、こんなにバッサリ切っちゃって…可愛かったのに」

「あなたの髪も切りましょうか？」

「えっホントですか！？」

「……そのままでも好きですけど」

「私一生髪切りませんッッ！！！」

※翌日ジャーファルさんに切ってもらいました。