お姫様抱っこしてください【マギ】 (ページ23)

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第23夜ページ23

「えー、長らくお待たせ致しました。では、解剖結果をお伝え致します。」

かくかくしかじかです。

※かくかくしかじかの詳細は下記をご覧下さい。

──…本来、正常な発生では、細胞分裂は細胞死によっても制御されます。

発生過程の決まった時期に決まった場所で、ある決まった細胞の死が起こることをプログラム細胞死といいます。

例えば、動物の指の成長過程では、指と指の間の細胞が死滅することで各指が離ればなれにになり、他にもチョウの羽の複雑な形の形成などにも見られます。

通常アポトーシスは個体の成長を促進しますが、ここで注目すべきは「偶発的な作用」。おそらく、このお酒は細胞を偶発的に若返らせることもあるのでしょう。

もし、お酒がアポトシスしか起こさなかったら、全身の細胞は大人のままで、体だけが小さくなったはず。また、若返りの作用しかなかったら大人の体格で、細胞だけ10歳くらいになっていたでしょう。全身の細胞の大半を死なせ、残りの細胞を偶発的に若返させるからこそ、私は小さく且つ若くなったようです。…──

「…はぁ、わかったような分からないような…とにかく、その解毒剤は作れそうなのか？」

「うぅん、できればこのお酒の原材料が欲しいですね」

「その酒はどこから仕入れたのだ？」

「それが聞いてくださいよドラコーン将軍、原産国はどうやら煌帝国のようなんです」

「……」

皆の視線が王に集まる、集まる。その肝心の王は、冷や汗タラリ、目が泳いでいること泳いでること。

「シン様？」

ジャーファルは静かに淡々と問う。どういうことだ？と。その顔はニッコリとした綺麗な笑顔である。Aは不覚にもキュンときた。

「まあ、なくても何とかなりますけどね」

「ほ、ホントか！？ A！！」

そのひと言でシンドバッドは救われたような気がした。

「はい。私を誰だとお思いですか？この国の優秀な医官 Aさんですよ？」

「～～～っ…A～～～！！！」

「ぶへぁっ」

「あっ、シン！！」

　むぎゅう。

　シンドバッドはAをきつく抱き締めた。ジャーファルは慌てた。周りはため息ついて。今日も今日とて平和なシンドリア。

「Aから早く離れなさい！」

「ふへぁ (幸せだなあ)」