お姫様抱っこしてください【マギ】 (ページ2)

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第2夜ページ2

　いきますよ。

Aの背中と膝裏に温もりのある硬い腕がスっと入る。ふわっとした浮遊感。いつもよりずっと高い所から見える世界。

「おお！」

「満足しました？」

「なんという安定感。目線も高い。すごい、しっかりしてる、抱いてください」

「イヤです。」

お互い特に深い意味もない発言をする。というか、興味自体ないと思われる。

「重くない？大丈夫？どんな感じ？」

「軽いっスよ」

「ヤダ、イケメン抱いて。(２回目)」

「抱きません。」

すぐAが抱いてって言ってしまうのはきっとマスルールがイケメンだからだろう。

「そうよね、確かに宴の時酔いつぶれたシャルさんとか運んでるもんね。それにしても軽い、か。うふふ、サラッと言えるマスルールくんはほんとイケメンだ。将来いい旦那さんになるよ、うんうん」

「はあ、どうも。」

旦那さんだとか言っているが、2人は同い年である。若い。

　そこにたまたま通りがかるはこの国の国王、シンドバッド。

「お、青春か？」

　発言が少々ジジくさ……シンドバッドはおもちゃを見つけた子供のような無邪気な笑顔でふたりの世界に入り込んだ。

「いえ、マスルールくんにお姫様抱っこしてもらってるんです。」

「お姫様抱っこしてます。」

いぇい、と息ぴったりに答える。何度も言っているがAが好きなのはジャーファルである。この二人は互いに恋愛対象、ではなく、気さくに冗談の言い合える友達以上恋人未満という関係だ。

うぅん、ややこしい。

「なんでまた」

「かくかくしかじかでして」

　魔法の言葉、かくかくしかじか。これで大抵は伝わるのだから魔法の言葉と言わずしてなんと言おうか。

「なるほど？それなら俺だっていくらでもやってやるぞ？」

「いえ、なんというかシン様は間に合ってます。」

「ひどい！！」

「日頃の行いじゃないっスか。」