君の心に私はいますか？《黄瀬涼太》

Look at me 16 ページ18

『っ………』





目を開けると黄瀬君が女子を強く抱き締めていて。





ずっと目を瞑っていれば見ることもなかっただろうその光景は私を泣かせるのに十分すぎた。





力の入らない足で隣の教室に入る。






『うっ……ぁ………』





声を殺して泣く日が来るなんて思いもしなかった。






？「えっ………A？どうしたの？！」





聞き覚えのある声に顔を上げると驚いているさつきがいた。







『さつき………ううん、何もないよ』





無理矢理笑顔を作る。






桃井「何もないなら泣かないよ」






『じゃあ放っといて。これは私の問題だから』





再び俯く。





さつきは悪くないのに何当たってるんだよ私…





最低だ。






桃井「放っとけないよ」






『え』






桃井「だってAは親友だもん！！」





そう言ってさつきは私を抱き締めた。






桃井「何があったのか言いたくないなら言わなくていいけど、私に何ができるかは言ってよ」





暖かい。






『ありがとう…さつき』





私のことを心配してくれるだけで十分だよ。





*




*




*




*








『じゃあね、さつき』






桃井「本当に大丈夫…？」





さつきは心配そうに私を見る。






『うん、大丈夫。ほら早く行きなよ。青峰君待たせてるんでしょ？』






桃井「何かあったらちゃんと言ってね！！約束だから！」





さつきはそう言うと走って行った。






『本当にありがとね、さつき』





誰もいない下駄場で呟いた。

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