燐寸25 ??side ページ26
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※気分を害する表現に御注意下さい※
※読み飛ばしても本編に大きな影響はありません※
※ ※ ※
また失敗だな
射たれた無色の液体が血管を通り全身に巡る。
「ぁがっ……がっ…」
心の臓を起点に寝台の上で体が跳ねる。
拘束帯が張って寝台ごとがたがたと揺らす。
輸血の準備を
「がふっ…ヒクッ」
煌々と輝く照明は、此方を覗き込む白服の人間達の顔を不気味に照らす。
眩しくて、目を閉じたいのに激痛が其れを許さない。
「っふ、……がっ…」
眼球から、喉奥から、毛穴から、何かも分からぬ体液が滲み出て寝台を湿らせる。
様子を見るべきではないか?
「ヒクッ__」
注意が逸れた其の一瞬を、
ばしゅんっ
「あが…?」
ゆるゆると、首をもたげて、
ふむ、まだ燃えぬな
「……ひゅっ、」
無い。
「__あ"」
無い。
「ぁ"、あ"あ"あ"ッ」
無い。
左腕が、肘から先が、ない。
「あ"あ"あ"あ"""!!!」
赤い。
赤い。
赤い。
「あ"あ"あ"あ"っ」
痛い。
痛い。
痛い。
痛い。
騒ぐな、模造品
模造品って何。
業火の魔女が現れたらしい
其れが僕のオリジナル?
矢張りマフィアが隠していたか
まふぃあ、魔女、其れが僕の
さぁ夕刻だ、派手に燃やしてこい
燃やす?
燃やす。
燃やせば良い。
其れが僕の、生きる意味。
燃やして祈れ
生まれてきてごめんなさい。
炎に祈れ
願わくば僕に、
業火の魔女に祈れ
幸福な結末を。
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※ ※ ※
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原因不明の爆発を起こした研究施設では人体実験が行われていた。
"普通"の人間に異能力を"後付け"する実験であり、非合法で人道に反する行為である。
後の捜査により実験体の暴走による爆発事故と判明。
研究員八名の安否は不明、焼け焦げた遺体から全員死亡と推定される。
連続的な不審火が見られ始めたのは此の爆発事故の後であり__
実験体の行方は依然として不明のままである。
以上、特務課の或る男の手記より。
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作者名:梦夜深伽 | 作成日時:2020年10月28日 0時