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迷宮解読2 ページ3




「帰って来る!」

バンっと大きな音を立てて机が鳴る。

其れに一拍遅れて椅子が倒れる音が続き、社内の視線が勢い良く立ち上がった乱歩さんに注がれる。

武装探偵社を探偵たらしめる存在の唐突な宣言に国木田さんは顔を引き締め、太宰さんは長椅子から身を起こし、与謝野さんは鉈を下ろして其れを見た谷崎さんがほっと息を吐く。

鏡花ちゃんは社長室から出て来て何かを言おうと口を開きかけていた社長をじっと見詰めてる。

ちなみに賢治くんは外回り、ナオミさんは買い物でいない。

「社長! 明日は休む!」

「待て乱歩。未だ帰ると連絡が有っただけだ」

社長の用件は如何やら乱歩さんに関連するものだったらしい。

細い紙切れを受け取った乱歩さんが一瞥して不貞腐れる。

「空港で捕まえないと僕と会うのが遅くなる」

「今日明日で帰ってくるもんなのかい」

「夜間の移動は好まない。着くのは明日の昼過ぎだ」

「乱歩さんが言うなら間違いないね」

与謝野さんがひとり頷いて鉈をしまう。

五回目を免れた谷崎さんが気配を殺しながら距離を取るのが視界の端に映っている。

「明日は買い物に行く予定だったんだけどねえ…帰ってくるなら妾が付き添いで行こうか」

とんとんと進んでいっているらしい話についていけない。

「敦君、何の話か分かるかい」

長椅子から移動してきた太宰さんに問われて首を振る。

「いえ…僕にはさっぱり」

「鏡花ちゃんもかな」

「誰」

鏡花ちゃんも同じように首を振る。

「斯く言う私も未だ会った事は無くてね」

「俺も話に聞く程度だ」

太宰さんの視線に気付いた国木田さんが眼鏡を掛け直す。

「社長、帰ってこられると云うのは」

「嗚呼。Aから連絡が有った」

其処で矢張り、と得心するのは国木田さんと太宰さん。

「Aは外国で仕事をしていてね」

変わらず首を傾げている僕らに与謝野さんが説明を続ける。

「乱歩さんによれば明日には帰ってくるそうだ」

「其の、」

「社員ではない」

「はぁ、」

「Aは」

乱歩さんが口を開いては閉じる。

先程開けた飴とは別に新しい飴を開けて口に放り込む。

「…Aは、」

心なしか頬が赤い。

机に座って宙に浮かせた足をじっと見ている。

そんな様子を社長と与謝野さんは微笑ましそうに見ていて_

「Aさんは乱歩さんの細君だよ」

「っ_太宰!」

「んふふ、合っているでしょう?」

「恋人と云う意味だ」

国木田さんが僕らに真面目な顔で説明をした。

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にゃーちゃん - 初コメ失礼します!超面白いです!思わず一気読みしちゃいました!更新楽しみにしてます! (2022年2月6日 2時) (レス) @page47 id: 04c952a5b3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:梦夜深伽 | 作成日時:2021年5月16日 19時

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