君の想い人は私じゃないんだ〘瀬名泉〙 (ページ5)

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英智「僕も彼女のパフォーマンスには1目置いていた。そして演技力もね。彼女は演技力にも長けていてむしろ歌唱力よりも演技力の方があったように僕は思う。まるで演じている役が彼女により移ったような……人の感情を揺さぶるような演技。とても素晴らしかった。
ファンのことも大事にしていて、アイドルとして彼女は最高な人物だと思うよ。まあ、今は”体調不良”ということで活動休止しているんだけどね」

私の知らない彼女…露咲A先輩について天祥院先輩は語ってくれた。だけどその語っている姿は時折悲しそうな雰囲気が出ていて、過去になにかあったことを思わせるような素振りだった

私は天祥院先輩の悲しそうな素振りになにかあったのだろうと察することができたが、今聞いてはいけないような気がしてあえて触れなかった
天祥院先輩が露咲Aさんのことを教えてくれたおかげで少し知れたのだが、あれ？と疑問になったことがあった。控えめな口調になりながらおずおずと生徒会長…天祥院先輩に聞いた

あんず「今、露咲先輩は体調不良で活動休止しているんですよね…？そしたらそんな中Tricksterとは共演出来ないとは思います…」

そんな私の問いかけに天祥院先輩はニッコリと問題ないかのような笑顔を私に向けた

英智「うん。共演なんて出来ないだろうね。でもそれは彼女が今も”体調不良”だった場合。今の君から見て、時々見かけた彼女は体調不良に見えたかい？」

その笑顔とは真逆の言葉に、私は「(行動と言動が真逆だ…)」と思いながらも自分が見かけた時の露咲A先輩のことを思い出した。少なくとも見かけた限りでは…

あんず「……心まではどうかは分かりませんが、少し見た感じでは体調不良では無いように見えました」

慎重に言葉を選びながらあんずは天祥院先輩の問いに答えていく。その2人の様子は臣下にあえて問題を出して反応を見ている皇帝のように見える光景だった

英智「うん。僕もそう思う。それに彼女なら…いや、これ以上は語りすぎになっちゃうかな。これだけ話しておいてアレだけどあくまで決めるのはプロデューサーだ。有名な誰かと共演するのもしないのも。だけどもし、露咲くんと共演したいのなら…彼女を説得するのは大変だから頑張ってね。ただ頑張って共演出来ればそれなりのメリットはあるよ。」

あんず「…アドバイスありがとうございました。もう少し私なりに露咲先輩のこと調べてから考えようと思います」