28. ページ29
...
春の心地よい暖かさが過ぎ、日差しがギラギラと強く容赦なく私を照らしてくる頃
そうか、そろそろ夏の季節なんだなということを私は意識し始めてきた
ここで1人で食べることを始めてからもう半年も経とうとしているんだ……
私がそう思ったその瞬間ぶわっと大きな風が吹き、赤香色の髪が目の前に広がった
A「……この髪も、もう手入れする必要ないかなぁ………」
私は自分の髪をひと房手に取り、赤香色の髪を眺めた
今までの私はアイドルとして活動復帰するために、髪やスタイル、スキンケア、何もかも活動中と同じで手を抜かずやってきた
久々に会ったファンを悲しみませないように、違和感持たせないために、そして、、彼に見せる私が1番輝いているために、、
だけど、もう既にこの時に私は活動復帰する気はさらさら無くて
彼にも”あの事”があってから少し気まづくて、会わないように極力していた
会ってしまった時には無理やり普通通りにはしているけど、、
本当にいちばん辛い時に傍にいてあげれなくて、私は…………彼らには……Knightsには何もしてあげれないまま終わって、そして何もかも遅くなって、最終的に私は自分自身のことで崩壊していった
そんな彼らに私は今更どんな表情をして会えばいいのだろうか
いや、会えるわけがない。会ったところで何になる。
頑張ってきても意味が無いことを知った私はなんのために今ここに、夢ノ咲にいるんだろうと思って途方に暮れている
今の私は、アイドル”露咲A”の抜け殻
亡霊みたいなものなのかな？
そんなことを考えながら、私は吸い込まれるような青い空に私の目は奪われて、ただそれだけを見つめる
ここ最近の私の昼休みはずっと屋上で1人ご飯を食べながら、ぼーっと過ごすのが日常だ
1人で過ごすのは結構好きで誰にも構わずに好きなことできるのがいいところなんだよね
だけどぼーっとしていると何故か去年のことが思い返してきて嫌な気分にもなってしまう
……何もしたくない、考えたくない、アイドルとしてのキラキラは去年、ステージに置いてきた
今の私は何も出来ないただの露咲A
みんなに…事務所や親友のまゆには止められたけどこのままファンに変な期待をさせるぐらいなら
もういっその事、芸能界をやめた方がいいかもしれない
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 83人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：sarai | 作成日時：2024年1月1日 3時
