君の想い人は私じゃないんだ〘瀬名泉〙 (ページ15)

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あんずは北斗を視線をしっかり受け止めたあと、一旦下を向いた

多分あんずも北斗の疑問について当然のことだろうと察していたのかもしれない

無言の空気がまた流れる…俺たちはその中あんずの言葉を待った

あんずは少し経ったあとまた上を向いて、北斗の視線をまた受け止めた

あんず「うん。確かに女性アイドルとしての括りで行くならトップアイドルに近いとして有名な萌音先輩と共演した方がいいとは思う。
萌音先輩の実力を私はまだ見たことないけど、露咲A先輩よりも評価されているなら絶対知名度的にも、交渉するにしても私たちにとってメリットしかない萌音先輩を選べば、上手く進む可能性は広がると思ってる。」

あんずは冷静に客観的になりながら、分析をして俺らに話した

あんず自身も露咲A先輩よりも萌音先輩の方がいいということを理解している。

だけど、それならなんで露咲A先輩を推すんだろうか…

俺がそう考えていると、

あんずはギュッと俺らに見えないようにしながらも拳を握りしめ、覚悟したような顔つきをしてそのまま話を続けた

あんず「…過去の露咲A先輩の活動している姿見た時パフォーマンスはもちろん、歌も、雰囲気も全部がすごくて、すぐに飲み込まれた。彼女を見ていると気分が高揚して、このままずっと見ていたいって思えるほどだったの。
そんな彼女の輝きとTricksterの輝きを合わせたら、すごい眩しいくらいの輝きになると思うの。自分勝手かもしれないけど、その輝きを見てみたいと思った…
もちろん、交渉してダメって言われるとは思ってる。でもやってみなきゃ分からないなって。だけど、みんなが露咲A先輩が嫌なら私は無理やりになんて進めたくないから違う人を探そうとは思ってる。……どうかな？」

あんずはそう言い切ると俺らにも視線を向けて、反応を見てきた

さっきまではなんで露咲A先輩なんだろうと思っていた

だけどその理由は……

………なんというか、あんずらしいなと俺は思った

もちろん露咲A先輩の実力を把握している上で俺らと合わせた時の輝きが凄まじいものになる。それを見てみたいなんて、

普通誰もそんなことを考えないし、言わない

だけどそれを言うのがあんずで、

俺らの輝きを信じて、ここまでプロデュースしてくれたのがあんずだ

その言葉を言われて俺たちがあんずが見たという輝きを信じないわけが無い