艶蕗［前世編］〜�此� ページ22
艶蕗は、帝の首から流れ出る血を、冷たく見据えていた。
――あぁ、此は、あたしが殺った事になるのだろうか。
あたしが手を下した訳では無いけれど――“漆黒”を喚び出したのは、このあたしだから。
「お前を闇の中からずっと見ていた。お前の望みを叶えよう。――全てが、憎いのだろう?」
“漆黒”がその場を染める。
雪の白も、自分の身を染める赤も、全て多い尽くすような、絶対的な黒が。
艶蕗は艶やかに笑う。
『えぇ。何もかもが憎い。――どうしようもなく、憎いわ』
だがその瞳は、その表情とは裏腹に光は一切宿さず、絶望仕切った虚ろな色を持っていた。
能力を身に付けた、身に付けてしまった艶蕗は――知ってしまった。
この能力を狙って、多くの人間が自分の元に来ることを。
その多くの人間を、自分はこの手で殺めていくことを。
そして自分は近い将来――死ぬということを――
艶蕗は知って尚、それを回避しようとは思わない。
死ぬのは怖くない。
怖いのは、失うこと。
これ以上何も、失いたくはない。
失わない為に、あたしは――“漆黒”に染まるわ。
「お前の望みを叶えよう。その代価は――お前の珍しい、稀少な魂。さぁ……選べ。
私と契約するもしないも、お前次第」
“漆黒”は笑っている。
稀少な価値があるのは、艶蕗の能力のせいなのだろう。
“先を見通す能力”は、異形のものにとっても貴重なものだった。
その事も分かっていて、艶蕗は決断する。
力が欲しかった。
何にも縛られない力が。
何も失わない力が。
だから――艶蕗は、闇の世界へと足を踏み入れる。
『あたしは貴方と契約する。私の魂と、引き換えに。あたしの望みを、叶える為に』
艶蕗は微笑み、“漆黒”に近付いていく。
彼女の身体が、“漆黒”に包まれていき。
艶蕗と悪魔の契約は、成り立った。
契約印は、うなじに印された。
艶蕗が決めた契約内容は、
“自分の命令に服従すること”
“何があっても消えないこと”
たった二つだけ。
自分の身の安全を保証する内容の契約は無い。
寧ろ異形のものでさえ、失いたくないとばかりの契約内容を結んだ。
悪魔は笑う。
悪魔は、消えることなどあるわけがないのに。
――なんて弄らしく、可愛らしい契約主なのか。
自分を求められていると思えば、悪魔はどこか優越感を感じた。
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ミユゥ(プロフ) - ホオズキ・アネモネさん» ありがとうございます！更新出来るだけ早くしたいと思います♪ (2015年3月1日 22時) (
レス) id: d740898104 (このIDを非表示/違反報告)
ホオズキ・アネモネ - 面白いです。頑張ってください！ (2015年3月1日 21時) (レス) id: 3d7a65811f (このIDを非表示/違反報告)
紅玉。(プロフ) - 私こそ、ミユゥさんの小説を見て元気を貰っている者です。お礼をしていただくようなことはしていないのですが…最近の占いツクールは異常ですね。ゆっくり休んでまた更新を頑張ってください。私はいつまでも、貴方のファンですから。 (2015年1月10日 20時) (レス) id: ac65f88d7e (このIDを非表示/違反報告)
ミユゥ(プロフ) - 紅玉。さん» すみません。此方からあの作品のレスさせて頂きますね。コメント嬉しかったです。メンタルは弱く無いのですが、精神的に疲れてましたので紅玉。さんのコメント見て元気が出ました！丁寧に対応しても平行線を辿ると疲れますね……。本当にありがとうございました！ (2015年1月10日 20時) (レス) id: d740898104 (このIDを非表示/違反報告)
ミユゥ(プロフ) - 短編集書かせて頂くことにしますね！答えて下さったmimiさん、闇夜さん、缶猫さん、なごみさん、ありがとうございました！これからもリク募集していくので宜しくお願い致します♪ヽ(´▽｀)/ (2015年1月10日 14時) (レス) id: d740898104 (このIDを非表示/違反報告)
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