艶蕗［前世編］〜�機� ページ16
時は平安末期。
所は日本の都、平安京。
宮中で、白拍子姿の――艶蕗(ツワブキ)の姿があった。
艶蕗は帝の御前の前で、扇を使い舞っている。
長く艶やかな髪を一つに後ろに纏め、白い顔に紅を引いた唇は、艶やかに弧を描いている。
誰よりも美しく。
誰よりも華やかに。
舞を舞う艶蕗の姿は、誰もが見とれる程美しい。
唄うその声は澄みきった、よく響き渡る美しい音色で。
皆一様に聞き入った。
舞が終わり、艶蕗が帝に一礼する。
帝の顔は勿論隠れて見えはしなかったが――その声から、機嫌が良いのは分かった。
「素晴らしかったぞ、艶蕗。そなたの舞はいつも美しいな」
『そ、そんな。あたしなどにそのような御言葉は勿体ありません……まだまだ未熟者の身でございます』
艶蕗は、舞を踊っている時の艶やかさが消え、おろおろと帝の言葉に答えた。
帝はそんな艶蕗に笑って、上機嫌に話しかける。
「そう謙遜するな。今やそなたの舞は京一のものだぞ。私がそう思うのだから本当だ」
『……あたしのような下賤の身が、そのような言葉を頂いてはなりませんよ』
艶蕗は哀しげな表情で帝に進言する。
「まぁ、その謙虚さが艶蕗の良いところでもあるからな。だが――私の言葉を否定する言動は、頂けないな?」
帝は少し威圧的な声を出した。
艶蕗は一気に青冷める。
――帝の気に触れれば、本当に“首が飛ぶ”この時代。
直ぐに帝の機嫌を直さなければならない。
『も、申し訳ありません……。以後気を付けます』
帝は艶蕗のその言葉に満足したのか、優しげな声を出した。
「あぁそうしてくれ。私は艶蕗の舞をいつまでも見ていたいからな。私の機嫌を損ねないことだ」
優しげな声。だがその内容は“帝の機嫌を損ねれば死ぬ”という残酷な内容。
だが、それでも白拍子を続けているのは――
・
たった一人の家族を、守るため。
・
『ただいま、空!』
「あっ!お姉ちゃん、お帰りなさいっ!!」
艶蕗のことをお姉ちゃんといった男の子は、可愛らしい笑顔で艶蕗を迎える。
この時、艶蕗は16歳。
年が離れた弟――空は、8歳という幼さだった。
この姉弟に、親はいない。
母は、空を産んだ後体調を崩し――四年前に亡くなった。
白拍子であった母は――
．．．．
そういう関係を幾らでも持つ。
そして子供が出来た処で、白拍子である母が正妻になるわけでは無い。
父は、誰なのかすら分からなかった。
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ミユゥ(プロフ) - ホオズキ・アネモネさん» ありがとうございます！更新出来るだけ早くしたいと思います♪ (2015年3月1日 22時) (
レス) id: d740898104 (このIDを非表示/違反報告)
ホオズキ・アネモネ - 面白いです。頑張ってください！ (2015年3月1日 21時) (レス) id: 3d7a65811f (このIDを非表示/違反報告)
紅玉。(プロフ) - 私こそ、ミユゥさんの小説を見て元気を貰っている者です。お礼をしていただくようなことはしていないのですが…最近の占いツクールは異常ですね。ゆっくり休んでまた更新を頑張ってください。私はいつまでも、貴方のファンですから。 (2015年1月10日 20時) (レス) id: ac65f88d7e (このIDを非表示/違反報告)
ミユゥ(プロフ) - 紅玉。さん» すみません。此方からあの作品のレスさせて頂きますね。コメント嬉しかったです。メンタルは弱く無いのですが、精神的に疲れてましたので紅玉。さんのコメント見て元気が出ました！丁寧に対応しても平行線を辿ると疲れますね……。本当にありがとうございました！ (2015年1月10日 20時) (レス) id: d740898104 (このIDを非表示/違反報告)
ミユゥ(プロフ) - 短編集書かせて頂くことにしますね！答えて下さったmimiさん、闇夜さん、缶猫さん、なごみさん、ありがとうございました！これからもリク募集していくので宜しくお願い致します♪ヽ(´▽｀)/ (2015年1月10日 14時) (レス) id: d740898104 (このIDを非表示/違反報告)
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