"失敗作"【風丸一郎太】

第7話 ページ8

扉を開けるとデカデカとした椅子に座った総帥が、気味の悪い笑みを浮かべて待ち構えていた。

影「自分のした事は分かっているな？」


『…』


影「黙りか？まぁいい。今度からは自分の行いを認め、この帝国サッカー部の為に働け。貴様は"兄"程ではないが、鋭い観察眼と頭脳を持っている。それを全て帝国の為に使え」


『嫌だと言ったら？』


影山は私の問に答えず一言零した。


影「…父親に捨てられたくはないだろ？」


その言葉はまるで呪いだ。


私の本心であるが故に、絶対に解けず私を縛る重い鎖となる。


『…やればいいんだろ』


影「その通りだ」


影山は再びニヤッと笑うと、さらに私の嫌いな話を持ち出してきた。


影「鬼道有人は問題など起こさなかったぞ。アイツは私の最高傑作だからな」


うるさい。


その思いを体現するように、私は耳を塞いだ。


影「それに比べて貴様は…」


体を固くする。


なんの意味もなさない防御をすり抜けて、その言葉は私の心に突き刺さった。


影「"失敗作"だな」


瞬間、扉を勢いよく開き、私は逃げ出した。


背後から影山の笑い声が聞こえる。


耳に張り付いてくる嫌な笑い声だ。


嫌いだ


アイツを最高傑作と褒め称える世界が


私を失敗作だと貶し罵る世界が


嫌いだ


嫌いだ


嫌いだ









『大嫌い！！！』

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