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「これで埋められねえだろ!」
「最低!卑怯者!ハシモト!私ごとやっちゃって!」
最初こそ猛烈な砂アタックを喰らっていたが、キバナはAを人質にとる事に成功し、ジャローダに見せつける。
だがあっさり少女を捕まえてしまえたことに違和感を覚える。
それにジャローダも嫌そうな雰囲気は十二分に出ているのだが、どこか余裕がある。
「今!」
少女のその一言で、頭上から大量の砂が降ってくる。
埋まるほどではないが、そこそこ砂まみれになってしまい、ある程度砂を払ってから上を見ると。
「クロ!ナイス!」
「クロバットか…!腹立つ顔しやがって…」
キバナを完全に舐め腐った、今にもへっ、と言い出しそうな表情のクロバットと目が合う。
「逃げろー!」
少女はお得意の逃げ足の速さであっという間に海辺へ走っていってしまう。
「クッソ…!」
悪態をつきつつも、笑う口元。
近くに居てもなんの反応も示さないのに、逃げる時は捕まえてみろと言わんばかりに挑戦的に笑うのは卑怯だと。
まるで触れと催促するのにいざ触ろうとすれば身体をグニャリとやって避ける気まぐれなアローラニャースのようだ。
「…やっぱ好きだな。」
…捕まらないから欲しくなったなんて、我ながら上手い嘘だ。
ありありと思い出せる、少女に恋に落ちたきっかけを。
些細なきっかけの積み重ねで恋に落ちた、悔しいほど小さな、出来事たちを。
それは、少女の笑顔を初めてみた時
それは、少女が自分の作ったカレーを美味しそうに食べた時
それは、バトルの時、アメジストの瞳と見つめあった時
それは、少女の弱さを目にした時
「…ねえ、追いかけてくれないと楽しくないですよ、早く!」
「舐めんな、待っててやってんだよ!」
こいつの前で、かっこよく在りたいと思うなんて、そんなのまるで…
まるで、恋ではないかと。唐突に気づいたあの日。
あの時からキバナは、Aを絶対に手に入れようと決めていた。
追う恋も、なかなか楽しいものだと。
波打ち際で楽しそうに笑う少女は、世界で1番、いや、俺にとって1番可愛い存在だと、改めて思った。
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影裏(プロフ) - レスありがとうございます!!!クチナシさんとの絡みも楽しみです! (2022年6月13日 8時) (レス) @page13 id: 54dee88f37 (このIDを非表示/違反報告)
影裏(プロフ) - めちゃおもしろい、、これからの展開が気になります!!更新頑張ってください! (2022年6月12日 4時) (レス) @page13 id: 54dee88f37 (このIDを非表示/違反報告)
珀琥(プロフ) - 続編おめでとうございます!これからも応援してます (2022年4月24日 15時) (レス) @page2 id: 8db741d522 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:モンブラン | 作成日時:2022年4月23日 19時