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「分かりましたか?じっと見られる側の気持ち。」
普段の仕返しだ、と手を離す。
「覚えとけよ…」
そう言ったキバナの顔は、とても悪い顔をしていた。
最早ジムリーダーがしていい顔じゃない。
先程まで確かに少女が優勢だったのに、取って食われそうな雰囲気に、思わず頭痛に苦しむコダックのように頭に手を置きキバナの様子を伺う。
……が、キバナの背後に目をやった瞬間、般若のような顔に変わる。
その変化にキバナがビク、と驚いたが、少女はそれどころでは無い。
「ハシモト…それはジャローダの姿をしたメタモン……」
キバナも後ろを振り返ると、少し遠くで、ジャローダが2匹、何やら楽しそうにじゃれあっている。
「……あ!?」
あれを一発でメタモンと見破るAに驚くが、それよりも、先程までキバナの目の前にいた少女が、一瞬目を離した隙にもうジャローダとメタモンの方へ歩いていることにさらに驚く。
キバナも一応後ろをついて行く。
「ねえメタモン。うちのハシモトに何か用?」
ジャローダの姿をしたメタモンを見上げるAの顔は見えないが、恐ろしいものを見るような顔で見下ろしているメタモンを見ると、相当怒っているのだろう。
「あっ、メタモンに戻った…怖がらなくてもいいんだよ、ハシモトと遊んでただけでしょ?」
声は柔らかいが、メタモンは怯えるように逃げていってしまう。
メタモンを見送り、少女はジャローダと向き合う。
「ハシモト…メスのジャローダだと思ってひっかけにいったでしょ。私の目が黒いうちはそんな軟派なことさせないよ!」
『ジャ、ジャロー…』
腰に手を当ててジャローダに釘を刺すA。
「まあ、ハシモトが本当に好きなポケモンが出来たら、その時はお祝いするけど…」
渋々と言った様子でAは項垂れる。
「さっき楽しそうなハシモトの顔みて、嬉しいことなのに寂しくなっちゃった。…番が出来ても、私に紹介しないでね、私はきっと駄々こねるから……」
『ジャロ…』
まだ分からない未来の事を考え、すっかりしょんぼりとしてしまった少女に、ジャローダはおろおろとする。
キバナはぽり、と頬をかき、二人の間の空気を断ち切るように手をパン!と叩く。
「お前ら海来たのに何地面見てんだよ。遊ぶぞ!」
そう言って砂を蹴りあげて1人と1匹に砂をかける。
「……ハシモト」
『ジャロ!』
「邪魔者を砂に埋めて海入ろう!」
その一言に任せろと言わんばかりに大量の砂を尻尾で抉り、キバナ目掛けて投げつける。
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影裏(プロフ) - レスありがとうございます!!!クチナシさんとの絡みも楽しみです! (2022年6月13日 8時) (レス) @page13 id: 54dee88f37 (このIDを非表示/違反報告)
影裏(プロフ) - めちゃおもしろい、、これからの展開が気になります!!更新頑張ってください! (2022年6月12日 4時) (レス) @page13 id: 54dee88f37 (このIDを非表示/違反報告)
珀琥(プロフ) - 続編おめでとうございます!これからも応援してます (2022年4月24日 15時) (レス) @page2 id: 8db741d522 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:モンブラン | 作成日時:2022年4月23日 19時