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Aは早起きした。
まだ薄暗いのにもう暑い、と眉を寄せる。
クチナシさんに頭を撫でられるとすぐ寝てしまうの克服出来てない…と一人歯ぎしりをする。
寝たフリなのか本当に寝ているのか分からないクチナシを起こさないように起き上がり、ふと大柄のものが目に入ったので、なんの気なしに目をやる。
……そこには上半身半裸のキバナが服を着ようとしていて。
「わっ!!ごめんなさい!」
バチン!
「っっ、痛ッてぇ……」
「ごめんクチナシさん!」
Aは軽くパニックをおこし、自分の目を隠そうとする気持ちとクチナシに抱きつこうとする気持ちがごちゃごちゃになり、結果クチナシの顔面を叩いてしまったのだ。
Aの反応は男性側が女性のあられもない姿を見てしまった時にするような反応で、普通逆だろ、とキバナは歯を見せて笑う。
いや笑ってる場合ではない。クチナシは即座に状況を把握し、呆れたように口角を上げキバナを見ていたのだ。
「朝から刺激が強いなこりゃ。」
叩かれた頬を言っているのか或いはAの気持ちの代弁か、それともキバナの気持ちか。
元からくせっ毛の強いAの髪の寝癖を手櫛で梳き、楽しそうに笑う。
「…今日は可愛くしちゃおうか。」
そう言って奥の部屋へ行き、何やらヘアゴムや櫛などを持ってくる。
「はい、ここに来て。」
Aは素直にそちらへ行き、クチナシの前に座る。
「わあ…!ありがとうクチナシさん、こんな女の子みたいな髪にしてもらって…」
「みたいな、じゃなくて女の子だろ。可愛い可愛い」
そう言って髪が崩れないように頭を撫でる。
キバナがAをみてソワソワしているのをみて、クチナシは口の端を器用に上げる。
「どうだい?いい女だろ?」
「はい。いい女です。」
目の前で男2人に褒められ、Aは素直に照れる。
「ほ、褒めても何も出ませんよ……」
そう言って照れる姿は、キバナには効果抜群だ。
「んじゃ、もうちょっとしたら出ようか。」
クチナシはその光景をニヤニヤしながら見、立ち上がる。
不思議だな、とAは思う。
絶対に楽しくないと思っていたクチナシとキバナとのお出かけが、案外楽しくて。
カイセキ料理は美味しかったし、ブティックで嫌がるクチナシにキバナと一緒になって服を選んだり。
だがクチナシをからかったりすると必ず仕返しされることを忘れていた。
「ほら、欲しいの早く選びなよ。」
「う、うーーーん…」
ポケモンのぬいぐるみ専門販売の店で、Aは仕返しを受けていた。
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影裏(プロフ) - レスありがとうございます!!!クチナシさんとの絡みも楽しみです! (2022年6月13日 8時) (レス) @page13 id: 54dee88f37 (このIDを非表示/違反報告)
影裏(プロフ) - めちゃおもしろい、、これからの展開が気になります!!更新頑張ってください! (2022年6月12日 4時) (レス) @page13 id: 54dee88f37 (このIDを非表示/違反報告)
珀琥(プロフ) - 続編おめでとうございます!これからも応援してます (2022年4月24日 15時) (レス) @page2 id: 8db741d522 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:モンブラン | 作成日時:2022年4月23日 19時