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「はい終わりっと。この包帯取るまで新しい傷絶対作るなよ。」


「……」


「後で勝手に取れば良いやとか思ってるだろ今。」


「!思ってない!思ってないもん!」


図星だったのか慌てた様子でアローラニャースを抱えてソファに座る。


「どうだかな、Aの事だしな」


じと、と効果音のつきそうな程少女を見つめるクチナシに、少女も負けじと見つめる。


「……それより結局なんの用なの?そろそろちゃんと教えてくれないと今帰るよ。」


「それは起きたら教えるよ。明日は俺と、隣のあんちゃんと出かけるから。」


「そうですか、じゃあ私いらないですね」


「いやAも行くんだよ。」


「正確に言うならクチナシさん+aが嫌なの!クチナシさんとならいくらでもお出かけするもん」


「なんでそんなにこのあんちゃんの事毛嫌いするんだよ。」


「……」


クチナシにそう言われるとAはむっつりと黙り込む


「A、あの事なら謝るから、」


そこでキバナが初めて声を掛けるが、すぐに言葉が止まる。


先程まで不服の表情と言えど感情らしい感情を見せて居たのに、キバナが話した瞬間一切の表情が無くなったのだ。


表情が抜け落ちるとはこの事か、と妙に感嘆してしまう程になんの感情も感じられなかった。


「あの事ってなんですか?イッシュまで追いかけてきて私の家に押しかけたこと?それともキスしてきたこと?」


キバナの方を見もせず吐き捨てるように続ける。


「生憎と、謝罪なんて聞きたくもないので。そして勘違いしてるようですから教えてあげます。あなたが私に何かをしてきて、あなたを意識するほど、興味なんてありません。興味を持ちたくもない。」


真顔を保っているが、深い怒りを言葉の端々から感じる。


「分かった?クチナシさん。私は毛嫌いしてるんじゃない。大嫌いなんです。あの人が。」


完膚なきまでに拒絶の意を示され、キバナは唇を噛み締める。


「……まあ、暑いからってカリカリするなよ、あともう眠いんだろ。」


そう言ってAの隣に座り、先程したように膝枕をする。


「ほらおやすみ。」


優しく頭を撫でる手をAは払い、クチナシはまた頭を撫で、を数回繰り返した後に、観念したようにクチナシの手を握り眠り始めた。



「…Aの言う嫌いは、気になるから嫌い、の嫌いだからあんま気にすんなよ。」


ただキスしたのはいただけねえな、とクチナシは器用に片眉をあげて頬杖をつく。


その顔の背後に般若が見えた錯覚を起こし、キバナはゴクリと生唾を飲み込む。

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影裏(プロフ) - レスありがとうございます!!!クチナシさんとの絡みも楽しみです! (2022年6月13日 8時) (レス) @page13 id: 54dee88f37 (このIDを非表示/違反報告)
影裏(プロフ) - めちゃおもしろい、、これからの展開が気になります!!更新頑張ってください! (2022年6月12日 4時) (レス) @page13 id: 54dee88f37 (このIDを非表示/違反報告)
珀琥(プロフ) - 続編おめでとうございます!これからも応援してます (2022年4月24日 15時) (レス) @page2 id: 8db741d522 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:モンブラン | 作成日時:2022年4月23日 19時

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