検索窓
今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:18,242 hit

:53 ページ3

あっという間に日は過ぎるもので、もうキバナが言っていた最終日、になっていた。


少女はお得意の逃げ足の速さを使うことはできず、嫌々キバナについて行く。


キバナにお似合いの豪華客船に無理やり一緒に搭乗させられ、ヒウンまで貸切のそれはそれは快適な船旅に付き合わされる。


「……その写真、あとで消してくださいね」


重々しい雰囲気を纏って少女はそう言うも、キバナはNOと言う。


「これは消さないし、誰にもみせねえよ。」


それならばと少女は、キバナにスマホロトムを向け、


パシャッ!


シャッターを切った。


「……」


確認すると、不意をついたつもりが、バッチリカメラ目線でニヤリと笑っている写真が。


「あなたがその写真をメディアかなにかに出したら、私もこの写真で対抗します。」


「その心配は杞憂で終わるぞ?ロック画面にでもしておけ。」


「面白い冗談ですね。」


そう呟く少女はニコリとも笑っていない。


「……お前はなんでそんなに顔見せたがらないんだよ。」


「面倒だからです。全て。」


くだらない肩書きのせいでね、と付け加える


「それだけじゃないだろ。」


少女はピタリと止まる。


「……どういう事ですか?」


あの時、キバナが、キュレムの姿を見ていたということ?


私の顔だけではなくポケモンの事も含めて脅しにかけているということ?


「……お前の過去を、アララギ博士に聞いた。」


「…なんだ、その事ですか。」


キバナが自身の過去に探りを入れようがそれはどうでもいい。


私と、みんなの生活が壊されないのなら。


昔の話と言われても、少女は楽しい思い出のことしか振り返らない。


親の事など最早言われるまで思い出さない。


「昔、私の誕生日に、みんなが私にサプライズをしてくれたんです。」


それぞれが摘んできたお花を、シュラが凍らせて、みんなで渡してくれたプリザーブドフラワー。


「私の家の扉にかかってるお花、みんなが作ってくれた私の誕生日プレゼントなんです。」


あなたが見たかはわかりませんが、と言い、ふ、と笑う。


「誕生日、いつだよ。」


「今日ですが。」


「はぁ!?」


「別に祝って欲しいとは思ってないので安心してください。」


ポケモンたちが朝からやたらソワソワしているのを見て、そういえば今日か、と思い出しのだ。


律儀に毎年祝ってくれるポケモンたちの為に、気づいてないフリをするのだ。が、それでも口角は自然と上がり、普段より幾分も機嫌が良い事はバレバレだ。

:54→←:52



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (85 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
164人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

影裏(プロフ) - レスありがとうございます!!!クチナシさんとの絡みも楽しみです! (2022年6月13日 8時) (レス) @page13 id: 54dee88f37 (このIDを非表示/違反報告)
影裏(プロフ) - めちゃおもしろい、、これからの展開が気になります!!更新頑張ってください! (2022年6月12日 4時) (レス) @page13 id: 54dee88f37 (このIDを非表示/違反報告)
珀琥(プロフ) - 続編おめでとうございます!これからも応援してます (2022年4月24日 15時) (レス) @page2 id: 8db741d522 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:モンブラン | 作成日時:2022年4月23日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。