イッシュの狂戦士は (ページ21)

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「私も昔、親に捨てられたんだけど、そんなの全く意味気にならないの。だって皆が傍に居てくれたから。」

少女がポケモン以外に心を開かない理由を聞いたフカマルは、どんな反応をすれば良いか分からず、少女の手を握った。

「自分のエゴで捨てるなら、私も自分のエゴでポケモンたちと友達になろうと思ったの。」

慈善活動をしてる訳じゃないと言い切る。全て自分のエゴだと。

「だからキサラギも自由に生きていいんだよ！」

ポケモンを拾うのもエゴ、自分の精一杯の愛情を上げるのもエゴ、だからポケモンたちも自由に生きろと。

そしてフカマルはまだ自分がボールの中に入ってないことを思い出した。

少女の手持ちのポケモンは、ジャノビーとクロバットのみ。

それに気づいたフカマルが、少女のバッグを漁り、ボールを持つと、真剣な表情で確認をしてきた。

もう逃がしてあげないけど、いいの？と。

ボックスに入ってるポケモンは、別の地方のポケモンで、なかなか行く機会が無いため捕獲しているものだった。

こうして少女の家で過ごしているポケモンがボールに入ると言うことはつまり、少女の手持ちになるという意思の表れで。

フカマルは返事の代わりにボールを少女に手渡す。

「…ありがとう。」

そうして、少女の手持ちポケモンにフカマルが加わった。

*

ぼんやり昔の事を思い出している少女の隣に座ったキバナは、あからさまに嫌そうな表情をした少女の反応を笑いながら見る。

「俺様嫌われてんなぁ」

「あまり注目されたくないので。」

端的にそう言う少女は、図体がデカいんだから2人がけの席に1人で座れば良いのに。と思う。

少女の席はキバナの本来の席から離れた、1番後ろの周りに誰も座ってない席だった。

キバナの席の周りを女性ファンが囲んだお陰で、少女は自分の方に来るとは思っておらず、油断していた。

今も女性ファンたちが立ち上がってこちらを凝視している視線を感じ、はぁぁぁ…と深いため息をつく。

「そういやこの間はポケモン技喰らうとは思ってなくて油断してたぜ？」

「…………聞こえないですね。」

痛い腹をつつかれて、少女は流れていく景色に目をやり、白を切る。

そんな少女の肩に腕を回したキバナに、少女はバッとキバナを見上げる。すると、思ったよりずっと近い距離に顔があり、少し怯んでしまう。

「…なんのつもりですか？」

「んー？聞こえねぇなぁ。」

まんまとやり返された少女は、口をギュッと結び、言い返す言葉を探した。