【薄桜鬼】 風ノ蕾

貼り付けた笑み ページ36

千鶴side

Aさんと原田さんがとっても楽しそうに会話をしている。
楽しそうだな…。

Aさんのこんな顔、初めて見る。
同じ女の子なのに、しっかりしてるな…何って心の中で思う。

原田さんが出て行く。
どうやら、Aさんが勝ったみたいだ。
Aさんは、カンカンに怒っている。
でも、何処か楽しそうな表情をしている。
私は、本心をつい言ってしまった。

千鶴「仲がいいんですね。」

話したい。
仲良くなりたい…そんな想いがあったから言ってしまったんだと思う。
Aさんは、そうかな？…何っていいながら照れていた。

千鶴「喧嘩するほど仲がいい…ってこのことですね！」

もう少しだけ、もう少しだけ話したい。
そんな想いで発した言葉。
さっきと同じ反応をしてくれる。
そう思ったが、違った。

Aさんの表情が冷たくなる。
そして、Aさんは独り言のように言った。

「そんな言葉ただの迷信だ。喧嘩すればするほど嫌われて要らなくなる…。」

何処か淋しげだった。
どうして、そんな顔するの…？
そんな想いで名前を呼んでみる…。

千鶴「Aさん…？」

彼女は貼り付けた笑みで、私に明るく振る舞った。
何で、そんな顔するの…？
聞きたいけど、聞けない。
Aさんと、もっと仲良くなりたいのに…。

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