【黒子のバスケ】未来へのキセキ Ⅴ (ページ30)

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第230Q 小さな影の英雄ページ30

その手を握ったのはリコであった。
Aの目を見て口を開く

「最初は驚いたけど…
今まで私たちを支えてくれていた
マネージャーのAちゃんと変わりはないでしょ？

だからそんな頭を下げないで、これからは選手としてもよろしくね。」

「リコさん……。」

その言葉に首を縦に振るA

「腕はどーなんだ、何で怪我したんだよ？」

「中2の時、事故でガラスの破片が刺さったんです。
刺さった破片が形や大きさがバラバラだったために皮膚などの損傷が激しくて…
その怪我があの時の接触でまた開いたんです。

出血が治まれば大丈夫ですよ。」

「中学2年の時って…かなり前じゃない！？」

「大丈夫ですよ、プレイにそこまで支障はありませんし。」

「ならいいんだけど…無理はさせないからね！」

「わかりました。」

「ま、元気そうでよかったよ。
結構いい時間になったしまた学校でなA」

そう言い椅子を立ったのは木吉

「また明日、A」

「またね、テツヤ」

誠凛メンバー達が病室を後にした直後、部屋を尋ねてきたのは担当医の市崎だった。

「出血が治まれって…んなわけねぇだろ。
このままバスケ続けてまた接触とかなってみろ腕潰れんぞ。

しかも部位は利き腕である右、接触がなくもも負荷は蓄積して行く。
そしたらまた傷口は開くし、損傷した筋肉や筋もまた切れるぞ。」

この怪我をした時から面倒を見てくれている担当医

いつも通り冷酷と淡々とそうAに告げる

「そんなの承知の上です、このウインターカップが最後なんです！
あのメンバーで…日本一を狙えるのが…」

「たった1度のためにこの先の選手生命捨てるのか。」

その言葉に次の言葉が詰まる。

「…無理に止めはしねぇ、決めるのはオマエだしオレは忠告だけはしたぞ。」

そう言い部屋を出た市崎

「…わかってるよ、そんなこと。」

“キセキの世代”のバスケを否定するために立ち上がった小さな影の英雄。

彼はそれまでAが忘れていた物を思い出させ、
もう1度コートに立つための勇気を与えてくれ

誰もが諦めた“キセキの世代”に勝つことを彼らは成し遂げると言い張った…そんな彼らの助けになりたい。

そして、彼らがもう1度笑ってバスケする姿が見たいから＿＿＿＿

「こんなところで…終われないのに。」

瞳から零れた水滴は彼女の手を濡らした。