【黒子のバスケ】未来へのキセキ Ⅴ (ページ27)

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第227Q 君のぬくもりページ27

それぞれの帰路に別れる中、Aは1人メンバー達から離れた。

痛みに歪むその表情。
もはや立つこともままならず今にでも膝から崩れ落ちそうになる中、必死に耐える。

痛みの根本である右腕の包帯には赤いシミが浮かび始めている。

「病院…行かなきゃ…。」

担当医から傷口が開いたら病院に来いと前から口煩く言われていた。
ケータイを取り出し病院の番号を探す。

「貸せ。」

目の前に伸びてきた手にケータイを取られ見上げればそこには青峰の姿

「ったく…無理しやがって。
アイツに電話したらいいんだよな？」

「うん…」

Aの代わりに相手に電話をかける青峰
安心した次の瞬間、膝の力が抜けその場に崩れる

「Aっ！」

崩れる彼女を支える腕

「ギリギリセーフっスね。」

「何故こうなるまで無理をしたのだよ。」

背後の声には青峰もAも聞き覚えがあった。

「涼太に…真太郎っ…」

「久しぶりっスね、Aっち。
とりあえずウインターカップ出場おめでとうっス。」

「全く…ウインターカップ出場決めてもこの状態では元も子もないのだよ。」

そう言いながらメガネのブリッジをあげる緑間にAは苦笑して返す。

その頃青峰は、電話の先の相手と話をしていた。

「真太郎と涼太もおめでとう。次はウインターカップでだね。」

「絶対勝つっスよ！」

「今度こそ決着をつけるのだよ。」

電話をしていた青峰は振り返り

「おい、アイツ今病院いるから来いってよ。」

「あの人に休みってあるんスかね。
いつも病院にいるイメージあるんスけど。」

「たまたまだろう、毎日いたら体を壊すのだよ」

「行くか、乗れ。」

そう言い、Aの前に背を向けしゃがむ青峰

「え…？」

「かなり痛んでんだろ、無理すんな。」

「大丈夫だよ…歩けるし…」

「いいから。」

言葉に込められた圧に圧倒され渋々その背中に身を預ける。

肩からかけていた荷物は黄瀬が持った。

「…ごめんね。」

「気にすることねぇよ。」

青峰の体温がAに眠気を誘う。
ゆっくりと瞼が落ちる中、

最後に聞こえた言葉＿＿＿＿おかえり。

「ったく重てーな。」

「自分で乗れって言っておきながらそれは無いっスわ。」

「嫌なら今すぐオレと替わるのだよ。」

「うるせ、渡すか。」

今、背中の確かな重さとぬくもり
彼女を見つめる3人のその顔はとても穏やかであった。