【黒子のバスケ】未来へのキセキ XⅠ (ページ9)

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第509Q 前を見れば… ページ9

背中に当てられた手は暖かく、そして力強い。

「ほら、前見て！ドンマイ気にしないの！！」

背後を見ればいつも通りのAの姿があった。

「A……」

言われた通り前を見れば頼れる先輩たちの後ろ姿。

火神はゆっくりと鼻から息を吸い、口から吐き出せば自然と心は落ち着いた。

「…おっしゃ！！」

先ほどまで迸っていた紅の光は消えていた。

「それでいいよ、いつも通りで。」

火神の体力はまだしっかり残っている、また反動の不調も見られない。
ゾーンの解け方としては最高だった。

その様子に師匠であったアレックスは優しく微笑んだ。

「(いい仲間を持ったなタイガ…！)」

先ほどまで焦りから狭くなっていた視界は広くなっており火神のプレイの幅も合わせて広くなっていた。

「(無策で赤司に挑んでも結果は見えてる…！！焦るな…試合はまだ始まったばかりだ。)」

火神の復活、そこから洛山の警戒心は
一層強くなりパスが一段とシビアとなった。

「(最初のロケットスタートからの勢いを殺さずこれてる…！)このまま第1Q振り切るわよ！」

リコの判断により、誠凛の選手交代の決断が下される。
黒子と変わってAがベンチに戻る。

「おっと、屁が…」

「なんで出るのよこんな時に！？」

コートの隅で根武谷とそんなやりとりをしており斜め後方に避けた実渕。
その背後に黒子がいるとは知らずに。

「っと！」

しかし、すぐに黒子の存在に気付き彼を避けた。

「ごめんなさいね。」

「……いえ。」

その様子に違和感を覚えたのは降旗であった。

「(…今の…？あまりに黒子を普通に認識していたような…観客の注目もいつもより…。
そうだ、黒子はそもそも注目されないのが普通…
されたらまずいんじゃないのか！？オレたちはとっくに慣れて気づかなかったけど…
まさか黒子の影の薄さがなくなってる…！？)」

この予感は後に最悪の形で的中することとなる。