【黒子のバスケ】未来へのキセキ XⅠ (ページ8)

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第508Q 贋物と本物ページ8

「ここで負けたらゾーンが切れる。」

青峰と同じくAも赤司の意図について確信を抱いていた。

「…だけならまだいいが、切れ方としちゃ最悪だ。100%の力を発揮してそれが通用しないとなりゃ…集中力と同時に戦意も揺らぐ。
絶好調から一転、反動で一気に絶不調もあり得るぜ。」

誠凛メンバーは火神なら赤司を止められると信じていた。
なぜなら先日の海常との試合、火神は黄瀬の天帝の眼を一度堪えている。しかも今はゾーンに入った状態、アンクルブレイクを凌げると思っていたのだ。

「……あまり僕をイラつかせるな。」

左右の揺さぶり、それは火神の重心移動がギリギリ出来ない速度で行われた。

「贋物と本物、比べられることすら不快だ。頭が高いぞ。」

床に腰を落とし、見上げた先には赤司の顔。
火神の敗北は明らかであった。

赤司のペネトレイト、誠凛も止めるために火神のフォローにすぐに着く。

伊月の鷲の鉤爪すらも見破られており、
既にボールは赤司の手から実渕の手に渡っていた。

「さっきの青峰の話がほんまなら…ここは止めんとマジでやばいで。
エース対決で完敗した流れからの失点なんて最悪もいいとこや、戦意減少による火神の不調だけで済む話やない。
誠凛全員の頭に刷り込まれることになる、『赤司には何をやっても勝てない』と。」

実渕のシュートへのブロックに跳んだ木吉だったが、繰り出してきたのはダブルクラッチ。
木吉を避け、実渕の手中のボールはゴールへ近づく。

「(しまった…！)」

今吉が言ったように誰もが最悪の状況を覚悟した瞬間

「諦めるには早すぎるでしょ！」

実渕の手からボールを叩き落としたのはAであった。

「ナイスAっ！！」

伊月の手に渡ったボール、攻守は交代され攻めは誠凛に変わった。

「(少し詰めが甘かったか、相変わらずAは速いな………がそれ以上に。)」

それだけ誠凛のメンバーたちに気合が入っているという証でもあった。

反撃に向かう誠凛だが、1人戸惑う火神がいた。

「(OF…攻めなきゃ…！！けど、どうやって…？流星のダンク以外で…？抜く？だが本気の天帝の眼を躱せるのか……？
オレは赤司に勝てるのか？)」

考えれば考えるほど思考は負の方向へ進んでいく。
そんな彼の背中を押す手が1つあった。