【黒子のバスケ】未来へのキセキ XⅠ (ページ39)

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第539Q 特効薬はないけれどページ39

彼の姿には観客はもちろん、"キセキの世代"の彼らも目を丸くした。

「まさか…(出るんスか！？)」

「(ミスディレクションやら技術云々の問題じゃねぇ……特性を失った状態で何ができんだよテツ！？)」

「(……不可能だ！)」

「(気合いだけでなんとかなるほど赤ちんは甘くないよ……？)」

「テツ君……」

黄瀬、青峰、緑間、紫原、桃井ですら今コートに立つ黒子の考えは到底理解できない。

コートに戻る彼には観客からの声も降り注がれる。
もちろん、コートにいる洛山の面々もこの状況に目を疑った。

観客からの歓声が降り注ぐ、つまり影の薄さは元に戻ってはいない証である。

「はぁ？」

「どういうつもり……？」

「なんも変わってないじゃんよ、観客の反応を見ても明らか……盛り上がっちゃダメっしょ。」

「(挙句元祖トリックスターと来たもんだ。失笑するぜ。もはやタネも仕掛けもバレたペテン師だろ。コートにいても邪魔なだけだぜ。)」

コートに戻り赤司の前に立った黒子。
すかさず赤司は尋ねた。

「どういうつもりだ？テツヤ。まさかまだ勝算があるつもりなら、楽観的にも程があるよ。」

「そんな風に考えていません。勝ちたいから戦う、それだけです。
結果がどうだろうと最後の最後までボクは逃げません…！」

「……なるほど、無意味な決意だ。」

試合再開、ボールは誠凛から。

「(ったくワガママばかり言ってくれるな…。ここから勝つってどんだけ無茶かわかってるよか？)」

「(それでも、1年がまだ上を向いているのに2年のオレらがしょぼくれてる訳にはいかないっしょ！！)」

「(まだだ……まだ時間はある…！諦めるには早すぎる！！)」

「(勝つんだ…！！ただそれだけを想って戦え！！)」

「(頑張ってみんな……がんばって黒子君！)」

伊月、小金井、木吉、火神、リコの思いは同じであった。
この状況を迎えることになったのは、
それは遡ること数分前……

「出してくれって……影の薄さを取り戻す方法を見つけたのか！？」

「いえ……その問題を直ぐに解決できる特効薬のような方法はありません。」

「そんな…それじゃ出ても……」

「特効薬はありません……が、考えはあります。」

Aの活躍により点差が詰まった今だからこそ出来ること。

それは黛対黒子を行うことであった。