【黒子のバスケ】未来へのキセキ XⅠ (ページ37)

今日:2 hit、昨日:5 hit、合計:37,567 hit

第537Q 孤軍奮闘ページ37

洛山ボールから再開した試合。
赤司から葉山に渡ったボール、そしてその前に立ったのはAだった。

「よっしゃ、リベンジするからね！」

「そんな余裕ないと思いますよ…」

トリプルスレットに入った葉山のボールに触れ彼の手から弾き出す。

あまりの速さに驚く"無冠の五将"たち。
その正確さはもはや赤司の天帝の眼に限りなく近い。

そのままトップスピードで、フリースローラインから踏切レーンアップてボールをゴールへ叩き込む。

その速さなら周囲は唖然。

「まさか、Aちゃん…赤司の天帝の眼と同じ…！？」

「……違うのだよ。Aのはそんなものでは無い。」

物心着く前からボールに触れていた彼女だからできる芸当。
数々の相手と戦い、経験を積んでいるから、多く人達のパターンと行動を見てきたから
出来るほぼ100%に近い予測。

言うなら黒子の人間観察と黄瀬の擬似的な天帝の眼を合せたようなものなのだ。

「なるほど……なりふり構わずか。
その作はオススメしないよ、A」

「今の私には十分よ…これであなたと張り合える。」

「言っただろう……贋物と一緒にするなと。」

「勝ったらそれはもう本物になるでしょ？」

赤司とA、天才同士の高次元の駆け引き、
この時には誰も介入はできない。

赤司との1対1はほぼ互角の勝負ながら、
軍配はほとんど赤司に上がっていた。

孤軍奮闘。まさにその言葉が相応しいだろう。
第3Q残り4分、彼女の活躍で25点開いていた点差は10点差まで詰まる。

洛山の背中まであと一歩。
そんな時、彼女の体に異変が起こる。

このシュートを決めたら点差は1桁
手で捉えたボールを頭上に構え放った直後、
右肩に尋常じゃない痛みが走り出す。

ボールはリングに弾かれコート外へ。

「ぐっ……あっ……！？」

右肩を抑え、力なくその場に座り込むA。
すぐにリコはタイムアウトを要求、試合は中断された。

「……孤軍奮闘の代償だな。」

憐れむように、最初からわかっていたように
すれ違いざまにかけられた赤司の言葉は
Aの目の前を真っ暗にする。

唇を噛み締め、血が滲む。

怒りと悔しさが身体を支配する。

＿＿＿＿＿＿いつの間にここまで自分は無力になったんだ。