【黒子のバスケ】未来へのキセキ XⅠ (ページ22)

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第522Q 彼の前に立つ重圧ページ22

一度崩れ落ちた膝を立て直すことすらできない彼に
リコが下すことのできる判断は1つだった。

思い知らされる"キセキの世代"主将の恐ろしさ、ギリっと歯を食いしばり降旗にこう告げた。

「……交代よ、降旗君。」

「そんな…大丈夫です！まだやれます！！」

「無理よ、そんな体力残ってないでしょう。」

「ちょっ…え！？
それってつまり…へばったってこと！？」

リコの言葉に1番に反応したのは小金井だった。
小金井の言葉からその場にいた全員が目を丸くした。

消して降旗は体力のない選手ではない。
そんな降旗でさえ全力でDFしたたった数分で体力が底をつく。

そこまでのものなのだ
"キセキの世代"赤司征十郎と向き合う時の重圧は。

「…じゃあどうする、カントク。
やっぱ2年の誰かが代わりに……」

黒子の視線誘導は使えない、降旗はもう立てない。
誠凛の手に残った道は少ない。

「……私が征と、赤司とやります。」

名乗りを上げたのはAであった。

「私と同類の眼を持つ俊さんなら、多分黛さんの動きをほとんど止められるはずです。
…全力で今大我が赤司とやれば後半のガス欠は目に見えてる、だとしたら私が適任のはずです。」

その言葉に、リコは悩みの色を見せるが
時間は無情に過ぎ去る。

「よっしゃ…頼むぜ、A 」

「ちょっ…日向く…」

リコが日向を止めようとした瞬間、タイムアウト終了のブザーが鳴る。

「もう！！じゃあ任せるわAちゃん！DFは降旗君に代わってAちゃんで、あとはさっきまでと一緒！それともう1つ、OFで差を詰めろ！！」

「おう！行くぞ！！」

この時のリコのの『OFで差を詰めろ』の言葉に、応えたのは他でもない日向であった。
つまりは『3点取れ』の意味。

コキっと日向首が音を立てた。

コートへ向かう仲間たちの背中を見ながら
降旗は隣に座っていた黒子は声をかけたのであった。

まだ力の入らない体ながら弱々しくこう告げた。

「黒子…オレ、ほとんど何もできなかった。まぁわかってたんだけどさ…オレなんかひっくり返っても敵うわけないって…ハハッ…けど、悔しいよ…やっぱ。」

ポロリ、ポロリと涙が彼の頬を伝う。

「強くなりたい…もっと、みんなと一緒に戦えるように…！」

必死で精一杯な彼の姿に黒子は眼を細めで優しく「はい、ボクもです」と答えた。