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鉛のように重い瞼を開けた。
中々焦点の合わない視界に、黒髪の男性が映る。
そ「Aちゃん!?」
少し慌てた様子で私の顔を覗き込んだ。
『そらる……さん……』
自分のものだと思えない程掠れた声が漏れる。
Aちゃん、と彼は唇を震わせながら呟くと、優しく私のことを抱きしめた。
彼は以前より少しやつれている様に見えた。
そ「ごめん……今までごめん……」
『今まで……?』
うん、と彼は頷き、私の目を見た。
そ「俺たちはAちゃんに……」
そらるさんはそこで言葉を切ると、微かに首を振った。
そ「先にこっちを見てもらった方がいいかな」
そう言うと彼は何処からか車椅子のような椅子を持ってきた。
こんなものまであるのか、と場違いに考えていると、彼は私を抱き上げ、その椅子に座らせた。
そ「こっち」
そのまま彼は私を隣の部屋に連れて行った。
__今まで私がいた部屋と同じような部屋に、彼は寝ていた。
『まふ……くん』
そらるさんは私の車椅子を彼の横まで押してくれた。
恐る恐る彼の頬に触れてみると、死者の様な冷たさは感じないが、生者の様な温かさも感じなかった。
一見普通に寝ているだけの様にも見える表情だが、ただ寝ているだけではないのは明らかだ。
意識不明。昏睡状態。そんな言葉が正しいだろうか。
『何があったんですか……』
そ「それも含めて、今から全部話すから」
そらるさんはベッドの端にゆっくりと腰掛けると、口を開いた。
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もみじ(プロフ) - 最後の展開が予想外でめっちゃくちゃ面白かったです!!好きな歌い手さんしかいなくて読んでて幸せでした(笑) (2022年6月8日 17時) (レス) @page50 id: f10d40c9f5 (このIDを非表示/違反報告)
咲魔_ジャジャ麺 - 好きです!最新頑張ってください!そして英語ぉなんもわかんない(翻訳?みたいなの使ったけど) (2019年2月9日 16時) (レス) id: ac3afb786c (このIDを非表示/違反報告)
眠気の極み(プロフ) - あほの人。さん» そこまで言っていただけるとは……! 沢山の小説の中から見つけてくださりありがとうございます! コメントありがとうございます! (2018年12月23日 11時) (レス) id: 4d945e9819 (このIDを非表示/違反報告)
あほの人。 - めっちゃ好みです!!検索したりしてたら、眠気の極みさん見つけて、うわぁぁぁ!!!ってなって、見たらやっぱ神作でした、、、!!これからも頑張ってくださいね!! (2018年12月21日 16時) (レス) id: 1ae863597a (このIDを非表示/違反報告)
眠気の極み(プロフ) - わあああ褒めてくださりありがとうございます!描写にちょっと悩んだところだったので嬉しいです…! (2018年11月25日 20時) (レス) id: 4d945e9819 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:眠気の極み | 作成日時:2018年10月23日 17時