吸血鬼にさらわれました。【そらる】【まふまふ】

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体が重い。

頭も痛いし、少しだが呼吸もしにくく感じる。


96猫さんは求血者(アトラクター)だのと訳の分からないことを言った直後に消えた。

魔法だろうか。少しのことでは驚かなくなっている自分に苦笑する。


求血者(アトラクター)。聞いたことのない言葉だ。

私がその「求血者(アトラクター)」だから、こんなことになっているのだろうか。


(迷惑……かけちゃったかな……)


なんだか申し訳なくなってくる。

もしもまた会えたなら、あの二人に謝らなくては。

もしも会えたら。





　『＿＿ッ!!』


考え込んでいると、唐突に天井から轟音が響いた。現実に引き戻される。

何かが壊されたのだろうか。

どうにか外のことを知れないだろうか、と模索するも、拘束されている身だ。当然だが何もできない。

それでも出来ることは無いか、と部屋中を見回していた。その瞬間だった。



＿＿Aちゃん!!


(そらる……さん……？)


返事をしたくても出来ないため、そのまま動かないでいた。


そ「Aちゃん!!」


唐突にドアが砕け散る。廊下からの光が、やけに眩しく感じる。

肩で息をした、そらるさんが立っていた。

おそらく蹴りで破壊したのであろうドアの破片を踏みながら彼は此方に歩いてきた。


そ「ごめん……」


そうそらるさんは言うと、私を縛っていた手錠や足枷を手で引きちぎる。猿轡も外してくれた。すごい力だ。

突然のことに呆然とする私を、そらるさんは思いっ切り抱きしめた。

長く血の通っていなかった手足に血が流れ込み、痺れるような痛みを訴えている。

ずっと感じていて、どんどん悪化していく体調不良と、安堵感で朦朧とする意識を手繰り寄せながら、彼の背に手を回す。


　『そらるさん……』

そ「ごめんね、もう大丈夫だから」


意識が遠のいていく。

小刻みに震えるそらるさんに抱き締められながら、私は意識を手放した。

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