″もしも″の四 ページ4
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静かに静かにここまで来られた。
頑張って気配を消した甲斐あってか、気付かれて居ないよう。
あ、後はこの木の向こうを覗くだけ。
「………」
うぅぅ…やっぱり怖い…
だって何が居るかわからないんだよ!?
いや、でも怪我している動物とかだったら早く手当してあげなくちゃいけないし…
……覚悟決めたんでしょ!A!
はい、三、二、一!
「………っ!」
ひ、人?
なんでこんな山奥に?
あれ?この質問はブーメラン?
でも普通に気になるでしょう!
さて、岩に凭れて寝ているようだ。
怪我しているのかな?
そっと木の影から出てその人に近づく。
栗亜麻色の長い髪と口元を隠すようなクチバシみたいなお面?をしているけど、どうやら男の方のよう。
あまり人とは会った事が無いけど…何となくこの人は綺麗なお顔をしているなと思う。
「…あの、どうしましたか?」
声をかけてみた…けど反応無し。
でも、目立った怪我は無いんだよなぁ。
体調が悪いとか?
また一歩、近づいた。
「あ、あのう。大丈夫ですか?」
また一歩。
また一歩。
繰り返すうちにもう目と鼻の先なんですけど。
どうしよう。
揺すってみる?
怖々と手を延ばした。
その時
「!?」
「はぁー…はぁー…」
首筋に当てられる刃物。
荒々しい呼吸音。
それは、手負いの獣そのもので。
おどおどと揺れ動く瞳。
…この人は、何かに怯えてる?
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レイレイン - 素敵な話ですね。とても感動しました。ありがとうございます。 (2021年4月19日 20時) (レス) id: 5a04a92c31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沖田レイア | 作成日時:2019年4月1日 16時