桜の花びら、最期の1枚 ページ12
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二月には雪が降った。
ちらほらとそれはそれは儚く美しかった。
四月には桜が咲いた。
窓を開ければ、舞い込んできたその薄桃色。
痩せこけたその手に一つを握らせれば、にこやかに。
やがて少女は死んだ。
最期は微笑んだまま涙を零して。
静かに桜とともに消えていった。
あれから一年。
高杉があの少女を遺した理由がわかった。
蝉の声が聞こえる。
子供たちが独立して、静かになった万事屋。
真選組が、攘夷浪士になった。
きっかけはその少女の死。
多分勧誘というか、過去の話をしたのだろう。
鬼兵隊の生き残りと言う名の河上以下幹部級全員と合流して、今では立派な過激派攘夷浪士。
結局敵も味方も、彼奴が壊したものは何も無かった。
そう、彼女は手紙だったのだ。
俺への赦しを、土方への誘いを綴った最期の手紙。
彼奴は彼女の聡明な暖かさに、透明な淡い色に
全てを託したのだ。
ミンミンと蝉が鳴いていた。
蒸し暑い万事屋で一人。
静かに目を閉じた。
風がサァと吹き抜け、夏の熱風を運んだ。
手を繋いだ二人の姿を見た気がした。
今日のラッキー高杉さん
萌杉
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キャラメル味(プロフ) - とてもいい話でした、泣きました、感動しました、言葉の一つ一つに重みがあり感動しました!(2回目) (2020年4月29日 2時) (レス) id: e1584a2181 (このIDを非表示/違反報告)
りなりー - ただ一言、ありがとう (2020年3月15日 21時) (レス) id: 45e0f85ae1 (このIDを非表示/違反報告)
山崎照葉(プロフ) - 度々入っている百人一首の意味を調べながら読みました。一首一首に意味があって、話の流れに沿っていたのに感動しました。 (2019年4月20日 11時) (レス) id: b8ce9cd4fa (このIDを非表示/違反報告)
沖田レイア(プロフ) - Nightさん» ありがとうございます〜(泣)本当に素人で…ありがとうございます! (2019年2月18日 16時) (レス) id: b13dceedcd (このIDを非表示/違反報告)
Night(プロフ) - とてもいいお話でした!読みながら涙出ていました。本当に良かったです。 (2019年2月17日 19時) (レス) id: a39d20f6cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沖田レイア | 作成日時:2019年2月6日 17時