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第三話 ページ3

そしてやってきた、父の友人の元に行く日。

父に手を引かれながらてくてくと歩き、一度舟に乗って、また歩いて、

「よし、着いたぞ。ここが僕の友達の家だ。」
「やっとついたぁ…すごいひろーいおうちだね!」

ようやく着いたその場所には、広い平屋という感じの家と、隣には小さな小屋があった。
父は、呼びかけもせずに広い平屋の扉を開けた。

「ちょっと父さん、ちゃんと来たよっていわないとーー」

Aは母からしっかり教わっていたことを注意しようとして、開いた扉から見えた光景に目を奪われた。
広い道場の真ん中で、狐のお面を被り、長い杖のようなものを持った男が静かに舞っていた。
男が杖を振るたび、それについた金属がしゃらしゃらと音を奏でる。お面をつけた顔は読めず、ただ祈っているような雰囲気を感じた。

「おい、来たぞ。相変わらずいい舞をするな。」
「やあ、来たんだね。呼んでくれればよかったのに。」
「どうせ神楽に集中してて気づかないだろ。」
「それはたしかに。…あ、君が夕の子供かい?ほったらかしにしてすまないね。」

いつの間にか舞は終わっていて、男が自分たちのすぐそばに来ていた。お面を外した顔は優しそうで、人に好かれそうな雰囲気を出していた。

「さっきのおどり、すごいすごかった!どきどきした!…あ、えっと、Aです。父さんのこども、です。」
「感想ありがとう。私は黎というんだ。よろしくおねがいするね」

黎はしゃがんで目線を合わせ、笑みを浮かべながら話しかけた。

「私の踊り、神楽をすごいって言ってくれたし、私の弟子になりたいって言ってくれたんだよね?」

黎の言葉に、Aは首をこくこくとうなずいた。興奮で舌もうまく回らないのだろう。

「じゃあ、質問なんだけどーー私の神楽、どんな感じがした?」

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作者名:ちょぜ | 作成日時:2024年3月10日 22時

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