優越感と劣等感 ページ6
朝は嫌いだ。
眠いし、朝練で疲れるし、それに
「おはよー!」
みんなうるさくなるから嫌い。
そんな煩わしい声から逃げるように暇潰しのスマホゲームを起動させた。
「おはよう。」
みんながみんな馬鹿みたいな大きい声で自分の存在を主張するなか、静かな声で、だがそれで充分に存在を認識させられる彼女が来た。
「Aおはよ!」
Aが教室に入った瞬間、クラスの輪の中心は彼女になる。現にみんな彼女に挨拶しようと必死だ。
特に男子は少しでも話そうと必死に「赤岩さん。」なんて呼び掛けている。そして彼女は笑顔でそれらをあしらう。このクラスになって彼らの声を何回煩わしいと感じたことか。
けど今は、
「孤爪くん、おはよう。」
Aが俺だけは必ず挨拶してくれることが、
「A。……おはよう。」
俺も返すと花が咲くように笑うことが、
堪らなく嬉しい。
今までの自分なら気持ち悪く居心地の悪いものと捉えていた、クラス中から多くの驚きとそれに混じる嫉妬の目線に今日は優越感すら感じてしまう。
まるで彼女にとって特別な存在になれたかのような錯覚。
嗚呼、本当にそうだったらいいのに。
俺は今日も美しい彼女に恋い焦がれている。
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マカロニ(プロフ) - りんごそばさん» コメントありがとうございます。そう言っていただいて光栄です! (2019年8月19日 16時) (レス) id: 30ec427a94 (このIDを非表示/違反報告)
りんごそば(プロフ) - 文が綺麗で、内容も新鮮ですっごく面白かったです!! (2019年8月14日 10時) (レス) id: c6e1875d82 (このIDを非表示/違反報告)
マカロニ(プロフ) - 夜桜伊織さん» コメントありがとうございます!運命感じていただけて光栄です!これからもこの作品をよろしくお願いします! (2019年6月18日 20時) (レス) id: 30ec427a94 (このIDを非表示/違反報告)
夜桜伊織(プロフ) - 最近倫理の授業でイデア論を知ったのでこの作品を見つけた瞬間なんか運命を感じました。習ったことを活かすってまさにこういうことなんですね、尊敬します! (2019年6月17日 1時) (レス) id: 8d7012ae56 (このIDを非表示/違反報告)
マカロニ - 藤和さん» ありがとうございます。私も様々な文章を読んで必死になりながら勉強してます。(笑)よろしければこの作品に最後までお付き合いください。 (2019年3月12日 21時) (レス) id: 30ec427a94 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:マカロニ | 作成日時:2019年3月11日 20時