★4話★ 朝ごはん ページ6
「おはよぉ…」
皿にご飯を盛り付けると、ちょうど聞こえた声。
目を向けずともわかる。
弟のジャックだ。
この家の住人は自分と弟のジャックしかいないのだから、当たり前といえば当たり前なのだが。
声の方へと顔を向けると、やはり、まだ眠そうに目をこする弟の姿。
「おはよう、ジャック。丁度ご飯が出来たわよ」
そう声をかけると、ジャックは、万歳をして、
「わーい、いい匂いしてるー!」
そう嬉しそうに言った。
微笑ましいなぁと感じながら、
「手と顔を洗ってらっしゃい」
そう言うと、
「はーい」
と大きく返事をし、バタバタと洗面台の方へと向かうジャック。
ほんと真面目でいい子に育ってくれたと思う。
お姉ちゃん、鼻が高いよ、なんて。
そんなことを思いながら、フォークやナイフ、それからパンにつける為のバターやジャムを用意する。
ちなみに、このジャムはお隣の農家さんからいちごを沢山頂いたため、家で煮詰めて作ったものだ。
ジャックは、また、バタバタと音を鳴らして帰ってきて、席へと流れるように座り、ご飯を食べ始める。
「そんなに急がなくても、ご飯は逃げないわよ」
私が苦笑するが、ジャックは得意げな顔をして、
「お腹すいてたんだもんー。おいしー」
と言う。それから、
「あ!ねー、お姉ちゃん、今日はお家にいるの?」
と聞いてきた。
「ううんー、今日から、カフェのアルバイトが始まるの」
私が首を振ると、ジャックは少し残念そうな顔をして、
「あ、そっか…言ってたね…」
と言った。
「ごめんね…」
私が言うと、ジャックは首を振り、そして、少し笑顔を浮かべて、
「ううん。僕、大丈夫」
と言った。
そんな健気な様子に抱きしめたくなるよ、ほんと。
ぎゅっと思わず抱きしめると、ジャックはじたばたと動く。
「僕、もう子供じゃないよー!!」
そんな声にクスリと笑う。
「ふふふ、そうね、もう5歳だもんね」
「僕、ちゃーんと、お留守番しているから、安心して行ってきてね!」
「うん、ありがとう!」
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作者名:マリーAI | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/Marie-HP/
作成日時:2019年4月22日 19時