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「はい、誕生日おめでとー」
時計とネクタイで迷った末、滅多につけないネクタイをあげるのもどうかと思い結局時計を選んだ。
……先月と今月のおこづかい使い果たしたけどね！
包装紙にくるまれた箱を、座っている一松先生に手渡す。
「……え、なんで知ってんの」
全開の目から驚きの色が伺える。
「この前国語の……。そうそう、おそ松先生が授業中に『もうすぐ俺の誕生日だからプレゼントちょーだい！ ちなみに言うと他の松野先生たちも誕生日一緒なんだよね！ 偶然！』って」
「地味に似てるね。……あ、違う。……なんでくれたの？」
そう言えば、と心のなかで呟く。これといって、大した理由はない。
誕生日を知ったらプレゼントをするのが普通と思ってたし。まああんまり話したことない松野先生たちにプレゼントするのもおかしいし……。
「……いつもお世話になってるからってことにしといて」
「ん……。ありがとう、Aさん」
とっさに思い付いた言い訳を言ってみれば、一松先生が屈託のない笑みを浮かべる。
「〜っ！」
ダメだ、投影するなA！ 相手は一松先生だ……！
丁寧に包装された箱をこれまた丁寧に剥いでいく一松先生。
箱を開けて、一松先生が顔をあげる。
「……本気？」
「本気本気」
あれ、デジャブだ、と思ったが言わないでおく。面倒だから。
「高いじゃん」
「うん。頑張った」
「……こ、こんな俺のために……？」
普段渇ききっているであろうドライアイが潤んでいる。
「……こんなってなに。お、お願いだからそんなピュアな反応しないで」
──ギャップで死んでしまうわ！
ありがとう、と一松先生はもう一度呟いて、わたしの両手を丁寧にとり柔く握る。
「一生分の運を使い果たしたかも……」
「運少なくない？」
えぇ、そんなに感動する……？ と半ば引きながら、ああ、このひとは一松先生だ、とやっと正気に戻る。
よく考えたらそのマンガの主人公はストーカー紛いのことはしない。ヒロインがプレゼントしてもこんなに大袈裟に喜ばない。そんなに好きって言ってこない。
似ているのは、見た目だけだ。
「一松せんせーは一松せんせーだね」
「……なに？ どういうこと？」
「なんでもなーい」
一松先生はわたしから手を離し、時計をいそいそとつけ始める。
「一生大切にする……。一緒に寝る……」
「えぇ、怖……」
マンガの主人公じゃないとわかったところなのに。
ちょっとだけ、一松先生がかっこよく見えた。
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海柄 - この作品…神すぎます……凄いです！いつ見ても癒されるぅ〜！投稿お疲れ様ですっ!!次の投稿待ってます！ファイトっᕦ(ò_óˇ)ᕤ (2022年4月9日 8時) (
レス) @page17 id: c80b266ed1 (このIDを非表示/違反報告)
MATSUNO NANA(プロフ) - もう、続きは書かれないのですか？いや、すみません。気長に待ってます。楽しみにしています！ (2021年5月4日 17時) (レス) id: 288501894e (このIDを非表示/違反報告)
小森桃子(プロフ) - ZUNさんは神なのだwさん» 神だなんて……。ありがとうございます！ これからも喜んでいただけるよう頑張ります (2019年6月21日 17時) (レス) id: a15aeb4942 (このIDを非表示/違反報告)
ZUNさんは神なのだw - 一松可愛いすぎでしょ！作った人…神じゃん！ (2019年6月21日 17時) (レス) id: edb9ce2cd8 (このIDを非表示/違反報告)
小森桃子(プロフ) - 憂月さん» ありがとうございます！私自身も萌えてます(笑) (2019年4月26日 19時) (レス) id: a15aeb4942 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小森桃子 | 作成日時：2019年3月26日 10時
