引きこもりが愛されてしまった…【文スト】

引きこもりが８人。 ページ14

相沢side

朝６時３０分起床。



引きこもり卒業という希望の光を私が忘れるはずもなく、



太宰さんと探偵社という単語で頭を埋め尽くした状態で今日を迎えた。



昨日ベッドの上でバタバタしたあと服がないことに気付き



今日のために服も買った。



万が一忘れたときこれ見て思い出そうと布団のとなりに置いておいた服を見る。



モノクロならば誰が着ても変にならないのではと、



暗い世界で生きてきた私とは似ても似つかないほど真っ白なブラウス。



店員さんの圧に蹴落とされ買ってしまったかわいい膝より少し上の丈の黒いプリーツスカート。



と、前職業柄故に無駄に切り傷の多い足を覆いつくすタイツ。



変じゃないよね…定番といえば定番の服装だし…



問題は私の平凡的な顔に釣り合ってるかどうか…



考えてても仕方ないのでちゃちゃっと着替え、朝ごはんのヨーグルトを食べた。



気付いたら玄関まできていて、



ちょこんとスカートを折りたたんで座って太宰さんを待っていた。



数分後、ぴーんぽーんと無機質な機械音が小さな玄関に響く。



太宰さんだ…！



期待に胸を膨らませドアを開けた。



待っていたのはやはり太宰さんで、なにか紙袋を持っていた。



「お早うAちゃん。



　これ、新社員歓迎プレゼントだよ。



　でも、もう足りてるようだね」



苦笑いをして紙袋を差し出す太宰さんに断りを入れ中をみると洋服が入っていた。



ぱっと見た感じ寒色系のかっこいい服。



引きこもりの私でも選んだ人のセンスがすごくいいことが分かる。



『わ、私はこんな素敵なものをいただいておいてなんてことを…』



パニックになりかける私を優しくなだめるように太宰さんは言った。



「Aちゃんはなにも悪いことしてないからねー。



　よしよし…」



自然に腰へ回る手にびっくりして、



『！？』



「う”っ”」



太宰さんを蹴ってしまった。



『あああ太宰さん！？すすすみませんんんん！しなないでくだざい…』



再びパニックになりかける私。



が、またしても太宰さんの一声により冷静さを取り戻す。



「いい蹴りだねAちゃん…



　さすが中也の次に動ける人の蹴りは違うや…



　そこでAちゃん。その美脚で私を蹴り殺してはくれないだろうか…」



『あ、結構です』



失礼なのは分かってるけどちょっと気持ち悪かった。

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