引きこもりが愛されてしまった…【文スト】

元引きこもりが３７人。 ページ44

相沢side

途中、賢治くんはベンチの前で足を止めた。



どうしたのだろう、疲れちゃったのかな…いやいや、私じゃああるまいし。



『賢治くん、どうしたんですか？』



不思議で問いかけると、癒される笑顔で答えた。



「Aさんはここで待っていてください！」



『え、』



もしかして、私が使えないから、一人でやった方が早いって…！



それだけはダメだ。少しでも役に立たないと、見捨てられる、



『あの、』



私が言葉を続ける前に賢治くんは言った。



「Aさん、人と話すこととか、人が沢山いる場所が苦手かな、と思って。



　確かに人酔いする人だって珍しくないですし、僕はそういう人に無理はしてほしくないです」



私は無言で賢治くんの話を聞く。



「安心してください、僕が戻るころには解決してると思うので！」



「なので、Aさんはここで座って待っていてください！」



＿＿こういう風に捉えてくれる人もいるんだ…。



『はい、…ありがとう、賢治くん』



どういたしまして！と笑うと、賢治くんは人影に紛れていった。



ー−−−
それから３０分ほど経つと、賢治くんは何人かの男性の首根っこを掴み、



引きずりながら戻ってきた。



数えると、いち、にい、さん、三人！？



すごいな、人間ってこんなことできるんだ…



賢治くんは私に気付いて、小走りで



「Aさ〜ん！」



と此方に来る。



小走りで！？



賢治くんの身体能力にひたすら驚愕していた。

元引きこもりが３８人。→←元引きこもりが３６人。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す