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父様 ページ7

仕方が無いのでそれも探偵社への差し入れにすることにした。
唯、私よりも先に父様が帰った場合。それを考えると今からでも急がないと拙い。
父様は酷く心配性だから。




急いでバスへと向かう。
…ギリギリ9時までには帰ることが出来そうだ。






ーー




「…A。随分と遅かったな。」



『お、お父様…早かったのですね……。』




玄関を開けた時鍵が空いていたからもしやと思っていたが…。
目の前には般若のように顔を顰めた父様。
私の右手には無花果の大福。



『え、えーと…お父様無花果の大福は如何ですか…?』



「随分とまぁ…素敵な誘いだな。……風呂に入って来なさい。」



『……はい。』





父様は小さくため息を吐き、一寸考えるとそれだけ言い部屋に戻ってしまった。
これは…一応、水に流してくれるということだろう。
私は水汲みを済ますと茶を入れ、お父様の部屋へと足を早めた。





『お父様…お菓子は如何ですか?』



「嗚呼、…頂こう。」






お父様は部屋の戸を開け私を招き入れた。
どうやら気に入ったようで、無言で食べている、





『所でお父様…今日、芥川と接触しました。』



「…何、」



『…正確には跡を付けられました。途中で撒きましたが…お陰で随分と遅くなりました。』





お父様はその言葉に少し考え込む素振りを見せるともう一度、顔を上げ私を見据えた。
もしや、その言葉に次ぐ言葉に私は目を見張る。





「もしや、…もしや今日、赤い着物の少女に会ったか。」



『!…えぇ、颰會堂の前に立っていたので共に食事を…。』



「…お前……真逆、また初対面の相手に……。」




父様は私を呆れた目で見るとまた溜息をつく。



「まぁ良い…しかし……。」



『しかし?』



当様はその言葉を最後に小さく首を横に振ると私に今すぐ寝るように言う。
…蚊帳の外の様で何とも口惜しい。





「…怪我は無いのだな?」



『?、はい。』



「ならば良い。」




父様はそれだけ言うと私の頭に手を置き微笑む。
私もつられて微笑むが、この忙しい一日に疲れたのかお父様の胸元に向かって倒れてしまった。







『お休……みなさ……い…』




「…嗚呼。御休み。」

土産→←鏡花ちゃん



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冬蜜柑美味い - テンポ…!褒められるの初めてです!!がんばります!! (2月2日 19時) (レス) id: 161dd8d243 (このIDを非表示/違反報告)
笹の葉 - 話のテンポが好きです!頑張って下さい!!! (1月27日 15時) (レス) id: 8035cab69c (このIDを非表示/違反報告)
冬蜜柑美味い - きんにくふぇち@他力本願。さん» ですヨネ!…でもそういうポジのお方グッズが少なくて…あ、涙が…… (1月15日 22時) (レス) id: 05bec6341d (このIDを非表示/違反報告)
冬蜜柑美味い - アキハさん» 超、嬉しいのですが!?頑張ります!! (1月15日 22時) (レス) id: 05bec6341d (このIDを非表示/違反報告)
きんにくふぇち@他力本願。(プロフ) - そりゃ社長好きっスよ……というかイケオジ好き。 (1月15日 21時) (レス) @page22 id: 5ebe7ae459 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:冬蜜柑美味い | 作成日時:2024年1月5日 11時

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