福沢諭吉の娘ですが。【文スト】 (ページ34)

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泥酔ページ34

『はは、太宰のひざかたぁーい。』

「うーん、眺めは最高だけれど視線が痛いねぇ」

ケラケラと笑いながらも自分の膝に寝転がる彼女。矢張り美女は良いものだと思いながらも周りの同僚達からの視線に耐える太宰。けれど彼女はなんとも恐ろしい人で。床にある太宰の手を自分の頭の乗せたかと思うと益々笑みを深めた。

「ん゛…、」

恐ろしい物だ、と左手はそのままに右手で口を隠すように覆うと太宰は一人悶えた。近づいて来た乱歩はAを起こし自分にもたれ掛かる形にすると彼女が飲みかけだったジュースを口に含む。顰めた顔を太宰に向けると乱歩は文句を云う。

「これ、相当度数が高い奴じゃない。…社長に知られたらどうなるかなぁ。」

「あはは、オレンジジュースだと思ったんですけど間違えちゃえました。」

そう言い置く先が無くなった左手で頭を掻く。先程の感触とは打って変わった物に少し残念になるが煩悩を掻き消すように乱歩にもたれ掛かる彼女を見る。決して恋慕では無いが彼女も又一人の女性。少し残念に思うくらい良いだろう。

「…なに見てんの。」

「……いえ、仲が良いな、と思って。」

乱歩はその言葉に当然でしょ、とだけ返すと少し残っていた酒を一気に煽る。そして菓子を幾つか加える。よく食べるな、なんて思いつつも確かこの人26だよなと思い出す。そして彼女は17だ。9歳も離れているんだ。軽い犯罪、恋愛に制限は無いとはいえども勝手に心配になる。

「あのねぇ、僕別にロリコンじゃあ無いから。そもそも、こんな関係になったのだって＿＿＿＿＿、」

「＿＿＿やっぱ、辞めた。」

目の前に立つ巨身を見て乱歩は言った。その先に何が続くのか少し気になるがこれ以上言葉を吐けば自分が殺られる。と太宰は目の前の彼を見上げた。顰めた眉を戻すことを知らない彼は戻すどころか寄せるばかり。部下にもたれ掛かった愛娘を見て息を吐く。娘を抱き上げるとふらりと社を出て行ってしまった。お叱りが無いことにホッとするが隣の彼は、と横目で乱歩を見る。

「…お前、呼び捨てにされたからって調子に乗るなよ。」

「…ふふ、怖い怖い。」

笑ってそう返した太宰。少し苛立って返してしまった言葉に酔っているのか、自分の頭を抱える乱歩。普段はあまり言わない自分の言葉に少し驚くがまぁ、良いか。と乱歩はグラスを置いた。