福沢諭吉の娘ですが。【文スト】 (ページ16)

今日:30 hit、昨日:41 hit、合計:55,066 hit

メイド服ページ16

『……お父様の娘は私なのに……。』

刑事さん達が帰った後、人知れずに呟くと隣にいた乱歩君が反応する。

「そんな事なら割ってはいれば良かったのに。」

私が娘です！って。そう言い私の真似をする乱歩君に思わず何とも言えない気分になるが、少し似ていたのには腹が立った。

『だってぇ、お父様も鏡花ちゃんも此れからの仕事で忙しいし彼処で割って入ったら余計怪しまれるし…』

私は社長室をちらりと見るが何の音沙汰もない。
…流石になにも言われないのはきつい。

そんな事を考え悶々としていると乱歩君が其れよりと言葉を続ける。

「この前の褒めて貰う奴、まだなんだけど。」

乱歩君は其れだけ言い少し頬を膨らませるとそっぽを向く。…その可愛さ分けてほしい。少し羨ましく思いながらも私は自分の膝をトントン、と叩く。

分からなかったのか、こてんと首を傾げる彼。
そう言えば何気に始めてだな乱歩君からで無く私からするの。私は乱歩君の頭を膝の上に持っていくと頭を撫でた。

『寝心地はどうですかー。』

「……悪くないんじゃない、」

乱歩君は私を見上げていた顔を横に戻すといつも自慢気に掛けている帽子を少し目深に被せる。

「にしたって、随分と余裕だね。もう少し慌てるかと思ったのに。」

私の履くスカァトを少しひらひらと手で弄り此方を見上げる乱歩君。その言葉に少し苦しくなるがまけじと言い返す。

『だって、晶子さんとナオミが私に似合うと思って選んでくれたんだからね。…狼狽えるのは最初だけ。』

「………そう」

乱歩君は其れだけ言うとそのまま寝返りを打った。
そして、私の顔を見上げる形で言う。

「Aって意外に小さいよね。」

ドカン！その言葉に大きく事務所が揺れたのは仕方がない事だろう。乱歩君の顔に綺麗な紅葉が咲いていたのは一部の社員だけが知っている。

ーーーーーー

お気に入り180人!？
投票50越え！？

こんなに早く伸びた事無くて驚いてます
其れも此れも皆様がこの作品を見てくださっているお陰です、有り難うございます。

コメントなのですが作者がコメ返して皆様のコメントが見えにくくなったら嫌なのであまり返せません。

コメント、高評価してくれるとモチベが爆上がりします。