約束 ページ40
そこには、こころなしかほんの少し息を切らした_____
「っい、い、………い、ば ………ばら、さん…………」
「はい、茨さんです。」
額にはほんのり汗をかいている。
「い、いつからそこに」
「今さっきですが…まあ、しっかり聞こえましたよ」
「忘れて…ください…」
「ふは、嫌です。」
無邪気にへらっと笑った茨さん。あ、この人、こんな顔するんだ…
じ、じゃ、なくて!!
「う〜、なんてタイミングで来るんですか…」
「知りませんよ。自分はAさんからのメッセージを見てここに来…………____」
「え?」
「……………なんでもないです」
ふいっと顔を逸らし、私の隣にどっかりと座る。
その衝撃でちょっと腰が浮く。
今、茨さん、なんて…………
「私のメッセージ、見て……来てくれたんですか?」
こっちは見てくれない。
けど、いつもだったら向かいや対角線上に座るのに
今日は何故か、隣。
ソファを伝って、茨さんの熱が伝わってくるような近さ。
「……………だったら、悪いですか」
「………!………
…いえ、悪くなんか、ありません。」
茨さんが、来てくれた。
私のメッセージを見て。
息を切らして額に汗を滲ませてるし、もしかして、仕事が終わって急いできてくれたのかな。
嬉しい。
嬉しいな。
「茨さん、………わたし、頑張りますね。」
「……………ええ。是非そうしてください。」
頑張ろう。
茨さんにもっと認められたい。
茨さんともっと、時間を過ごしたい。
ずっと向こうを見ていた茨さんが、突然こっちを見て私と目を合わせる。
吸い込まれそうなブルーの瞳。
…………ふ、と 薄い唇の口角が上がる。
「今回のライブ、無事に全部終わったら食事に行きますか。」
「へっ、えっ?」
「何ですか。嫌でしたか?」
「あ、え、い、いや、嫌じゃ!嫌じゃないです!ぜ、ぜひ!是非!!」
「では、約束ですね。…………コーヒー、冷めますよ?」
「あっ!あっ!あ、あ、と、取ります!」
はあ、これは
本当に頑張らなきゃなあ。
330人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
斉藤ちく(プロフ) - ちびさん» コメントありがとうございます。とても励みになります!細々とですが続けていきたいです。ちび様もご自愛ください! (6月9日 19時) (レス) id: 43e5963b91 (このIDを非表示/違反報告)
ちび(プロフ) - はじめまして!いつも楽しく拝読しています。展開もドキドキワクワクで…とても楽しみにしております。雨が多く、ジメジメする時期ですが…ご自愛ください。これからも応援しています☆ (6月9日 7時) (レス) id: 190d57c004 (このIDを非表示/違反報告)
斉藤ちく(プロフ) - あめみやさん» コメントありがとうございます。ツンデレ茨からしか摂取できない栄養、ありますよね…。 (6月8日 14時) (レス) id: 771595aedb (このIDを非表示/違反報告)
あめみや(プロフ) - ツンデレな茨もまた良き (6月5日 22時) (レス) @page37 id: a179dcb416 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:斉藤ちく | 作成日時:2023年5月4日 18時