味方 ページ24
「………」
思わず口をつぐむ。
思い当たる節と言っても、それは超個人的な事だし、
………なにより、凪砂さんに相談できることじゃない。
「何も、ないですよ。」
「…………………
…………………………そう。」
しばらく間を置いて、凪砂さんは「わかった。」と言い立ち上がった。
「忘れないで。私たちは、何時でも君の味方。」
「…………………」
そう言って私の肩に優しく手を添える。
暖かい人の手。
肩から全身に、優しさが溶け込むような…。
その瞬間、私はなんだか凪砂さんに隠し事をしているような気がして
それがとても申し訳なくなって
__ついには口を開いてしまった。
「………………い、ばらさん………のこと、なんですが。」
「…………
……うん。」
固い口を開いた私を見て、何も言わずそのまま話を聞いてくれる。
その優しさに甘えて、どんどんと口が回ってきてしまう。
「最近、残業中に毎日のように茨さんと会うんです。それも必ず休憩スペースで。」
「うん。」
「偶然なのか、茨さんの習慣なのかわからないんですが、必ず居て。私も、そこでコーヒーを飲むんです。」
「……うん。」
「茨さんは特別話すわけでもなく、話しかけてくるわけでもなく、私より先に来ようが後から来ようが、ずっと黙ってコーヒーを飲んでいるんです。」
「……うん。それで。」
「私は、その時間がとても落ち着くから………無意識に、いつも休憩スペースに行ってしまうんですけど。
…………茨さんは全く話してくれなくて、むしろ居心地悪そうにしていて。
私が茨さんの休憩を邪魔してるのかも、って、思いだしてきて………」
すみません、こんな話。と、段々と小さくなる声をなんとか繋げて言葉にする。
こんな話、私が休憩スペースに行かなければ済む話である。
ただ、なんでか分からないけど……
落ち着くのだ。あの空間が。
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斉藤ちく(プロフ) - ちびさん» コメントありがとうございます。とても励みになります!細々とですが続けていきたいです。ちび様もご自愛ください! (6月9日 19時) (レス) id: 43e5963b91 (このIDを非表示/違反報告)
ちび(プロフ) - はじめまして!いつも楽しく拝読しています。展開もドキドキワクワクで…とても楽しみにしております。雨が多く、ジメジメする時期ですが…ご自愛ください。これからも応援しています☆ (6月9日 7時) (レス) id: 190d57c004 (このIDを非表示/違反報告)
斉藤ちく(プロフ) - あめみやさん» コメントありがとうございます。ツンデレ茨からしか摂取できない栄養、ありますよね…。 (6月8日 14時) (レス) id: 771595aedb (このIDを非表示/違反報告)
あめみや(プロフ) - ツンデレな茨もまた良き (6月5日 22時) (レス) @page37 id: a179dcb416 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:斉藤ちく | 作成日時:2023年5月4日 18時