蕨姫花魁のお気に入りの遊女は……

善子と雛鶴と蕨姫花魁 ページ21

炭治郎「善逸の事、知ってるのか！？善逸は今、何処にいるんだ！？」


興奮したように言う炭治郎…さんに少し私は戸惑いを覚えた。


……善逸さんが善子さんと同一人物だとしたら、どうして名前を変えてるの？


それに潜入とか、よく分からない事を言ってるし…。


炭治郎「大事な事なんだ。頼む。知ってる事を全部、話して欲しい」


真っ直ぐで透き通った瞳。


それを見たら、何だか話さないといけない気がして。


A「善子さんは…足抜けしたんです…」


宇髄「足抜けだと？」


A「でも、それは噂であって、本当のところは分からない、です…」


元々、自分の意思で話すのが苦手。
だから、つっかえながら話した。


宇髄「……雛鶴は知らないか？」


雛鶴さん……。


あの人も、善子さんと同じで潜入してたの？


A「雛鶴さんは…病気になって、切見世へ行きました」


私がそう言った途端、宇髄さん？は心底ほっとしたとでも言うようにため息を吐いた。


この人と、雛鶴さんはどういう関係なんだろう？と疑問に思ったものの、何も聞かなかった。


宇髄「善逸が行方不明になる前、何か揉め事を起こしたりしたか？」


そう尋ねられて。


私は一瞬。


息が止まった。


揉め事……。蕨姫花魁と、揉め事を起こしてた…。


でも、こんな事を言ったら。


蕨姫花魁が疑われる？


そう思ったら、私の口は動かなくなってしまった。


言えない。言いたくない。


私だって、私だって。


庇いたい人ぐらい、いる。


炭治郎「A……？」


宇髄「………」


伊之助「………」


蕨姫花魁と揉め事を起こしてた事は、私の口からは決して教えないから。

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