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考え事。 ページ11

志麻side

城に戻った後、俺はずっと部屋に引きこもっていた。

理由の一つは城の大臣達が風邪では無いが念の為、今日は部屋に居るように言われた事。

もう一つは少し考える時間が欲しいと俺が言ったから。

歌弥(かや)は浜辺から城に戻るまで一緒に居たけれど、城に着いた瞬間何処かへ向かった。

…ほんまにあんな奴が俺の政略結婚の相手なんて信じたくないわ。

城と城のお金と地位にしか興味が無い最低女。

せめて、もう少しマシな奴にして欲しいっちゃうもんやわ。

『…はぁ……。

にしても、海織綺麗になっとったなぁ…』

歌弥の事に溜息をつきながらも、先程再会したばかりの初恋の海織を思い浮かべる。

きっと、綺麗になっとるとは思っとったけど…まさかあんなに綺麗になるとは思っとらんかった。

海の中では…色んな人魚が見蕩れてるんやろなぁ…。

美しい海織に。

もしかしたら海織にはおれが離れとる間に恋人が出来とったらどうしようと思ったけど…、あの様子ならおらんそうやな。

だって、海に溺れた俺を助けてくれたんやから。

しかも、前聞いたけど…人魚が人間を助ける時は信頼してるって証だからって言っとったし。

まだ、俺にもチャンスあるんよな?

人魚やから諦めようと思ったけど、あんな綺麗な海織が俺を助けてくれたその事実だけでもう無理や。

だけど、そこでフッと忘れてはいけない事を思い出した。

………何で俺は第一王位継承者なんやろ…。

そんな身分やなかったら、海織に会いに行くのも一緒に逃げる事も簡単やのに…。

俺が第一王位継承者やから…。

けど、もし王位継承者やなくてこの国に留学しとらんかったら…海織に出会えてなかったかもしれない。

そう思うと、王位継承者で良かったって思ってしまう。

…矛盾ばっかやなぁ……。


♡♡♡♡

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作者名:柚香 | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2020年6月18日 22時

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