broken emotion IV (ページ10)

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「大ちゃん？どうしたの？」

有「なんでも…ない…」

よく見ると大ちゃんは泣いていた

「大ちゃん…」

有「…バカ」

「ごめんね」

有「死ななくて…良かった…」

「大ちゃん…痛いよ」

大ちゃんの手は弱まらなかった

外でこんな事やってるなんて…

「…ここ外だよ、大ちゃん」

有「…うん」

「ごめんねって、もうこんな事しないから」

有「…約束だよ？」

「…多分」

有「多分って…」

「もしも大ちゃんが危なかったら、私は大ちゃんを命をかけて助けるよ」

有「そんなのダメだよ」

「だって大ちゃんだってそうでしょ？」

有「…そうだけど」

「私だって大ちゃんが大切な人なんだよ。
だからお願い、助けさせて」

大ちゃんは黙り込んで運転席に乗った

私も追うように助手席に乗った

有「…わかったよ、」

「ほんとに…？」

有「俺が命かけてAちゃんを守れば良いんだから。でしょ？」

無邪気に笑ってみせた大ちゃんはそのままアクセルを踏んだ

「大ちゃん」

有「んー？」

「お母さんとお父さん、いないんだね」

有「え？あ、聞いてたの？」

「…大ちゃん、耳」

有「え？みみ…あ！イヤホン付けてんの忘れてた！」

仕事の時は必ず付けるイヤホン

そのイヤホンから声が聞こえないためか、していることを忘れていたらしい…

【…馬鹿かお前は】

有「げ、山田…」

【"げ"じゃねーよ】

【良かったね、大ちゃん。これで全員が大ちゃんの過去を少し知れたよ】

有「よ、良かったのか？」

次々と聞こえてくるみんなの声

慧くんはテキトーなことを言ってるけど

【大ちゃん、今度奢ってよね？】

【ていうか有岡くん、さっきAちゃんと話してた時泣いてなかった？】

有「うるせ」

【ちょっとー、耳がうるさいんだけど】

【てかAも帰ったら話聞かせてもらうからな？】

「え…」

【二人とも〜早くこっちの仕事手伝ってよ〜】

やっぱりこれがいい

この場所がいい

本音でぶつかって

ふざけたりして

怒ったり怒られたりして

そんな場所が私は大好きだ