星が輝いていた (ページ6)

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進路3 ページ6

「Aくんもそろそろ進路考え始めてるんやなー」

薄暗い道Aを真ん中にして3人並んで歩いていると治はそれまで話していた話題をいきなり変えて言い出した

「そやな、先生達も2年になれば口煩く言ってくるようになるんよ」

毎日のように1年後には今の3年生のように必死に勉強机に向かっているという話を聞かされて、そんな自分の姿を想像出来ないでいるAには先生の言っていることがまるで遠い異国の言葉のように聞こえる

「でもAくんはバレーがあるんやしええやろ」

「それを言うたら双子もやろ?」

足並み揃えて歩く道

ほんの少しAはバレーの事を考えて億劫になった

「将来に自分がなりたいものにつける確率知っとる?めっちゃ少ないんやで」

「それでも、神童言われとるAくんなら大丈夫やよ」

いつ覚えたのか慰めのような言葉を放つ治に適当な笑顔で返す

でも本当にAが欲しい言葉はそれではないし、バレー選手になれるかを不安に思っていたわけでもない

ただAは、バレー選手になる覚悟がきまっていない上、正直なりたいとも特に思って居なかった

それでも自分の実力はそこらの人には負けない自信はあるし、そもそも負けるつもりもない

そんな矛盾がAの事を苦しめていたのだ