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キバナ宅で呑んだ酒は、アイビーを程良く酩酊させてくれた。足元が少しだけフワフワとして、気分もフワフワと宙を浮いている気分である。酒を飲むと陽気になれる。煙草も吸えたから、暫くはニコチンを摂取しなくても生きていられる。
しかしアイビーは浮かれてはいられなかった。先程、電話が入ったのだ。知らない番号からだった。アイビーはきっとロイバだろうと思い、安易にその電話に出た。
《あっ、もしもし? オレの声聴こえてる?》
電話口に聞こえたのは、知らない男の声だった。アイビーは咄嗟に電話を切ったが、すぐにその番号から電話が掛かってくる。アイビーは直ぐにその電話番号を着信拒否にして、携帯電話の通知も切った。メタモンと夜間飛行をしている間にいくらか気分は落ち着いたが、あの電話を思い出すとゾッとする。間違い電話、だといい。そうだったらとても平和だ。間違い電話をした相手は着信拒否されたことを不思議に思って、電話番号を見直して、掛け間違えていたと気付くだろう。だがあの電話がもし、アイビーに直接掛けたものだったら。
いやそんなはずはないとアイビーは首を横に振る。アイビーの電話番号は誰も知らないのだ。それこそ、ロイバだって知らないはずだ。教えていないのだから。それなのに、どうしてその番号がアイビーの携帯電話に通じると知って掛けられるのだろうか。
アイビーはスマートフォンの中で眠るロトムを見た。ロトムは新しい
春とはいえ夜になれば風は冷たい。そんな冷たい夜風に肌を震わせて、アイビーはせかせかと足を動かした。
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作者名:綿雲しぃぷ | 作成日時:2023年6月27日 19時