検索窓
今日:8 hit、昨日:19 hit、合計:2,387 hit

ページ40

キバナ宅で呑んだ酒は、アイビーを程良く酩酊させてくれた。足元が少しだけフワフワとして、気分もフワフワと宙を浮いている気分である。酒を飲むと陽気になれる。煙草も吸えたから、暫くはニコチンを摂取しなくても生きていられる。

 しかしアイビーは浮かれてはいられなかった。先程、電話が入ったのだ。知らない番号からだった。アイビーはきっとロイバだろうと思い、安易にその電話に出た。

《あっ、もしもし? オレの声聴こえてる?》

 電話口に聞こえたのは、知らない男の声だった。アイビーは咄嗟に電話を切ったが、すぐにその番号から電話が掛かってくる。アイビーは直ぐにその電話番号を着信拒否にして、携帯電話の通知も切った。メタモンと夜間飛行をしている間にいくらか気分は落ち着いたが、あの電話を思い出すとゾッとする。間違い電話、だといい。そうだったらとても平和だ。間違い電話をした相手は着信拒否されたことを不思議に思って、電話番号を見直して、掛け間違えていたと気付くだろう。だがあの電話がもし、アイビーに直接掛けたものだったら。

 いやそんなはずはないとアイビーは首を横に振る。アイビーの電話番号は誰も知らないのだ。それこそ、ロイバだって知らないはずだ。教えていないのだから。それなのに、どうしてその番号がアイビーの携帯電話に通じると知って掛けられるのだろうか。

 アイビーはスマートフォンの中で眠るロトムを見た。ロトムは新しい住居(スマートフォン)にまだ慣れていないらしく、アプリケーションで言うところのローディング中にある。ロトムが正常に活動してくれていれば、アイビーのスマートフォンになにか細工をしようとしたり電波を介して情報を抜き取ろうとしたりする存在からは守ってもらえる。しかしロトムは、まだ眠ったままだ。心許ない、それに寂しい。

 春とはいえ夜になれば風は冷たい。そんな冷たい夜風に肌を震わせて、アイビーはせかせかと足を動かした。

❦→←❦六話:カンムリ雪原への特急列車



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (8 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
9人がお気に入り
設定タグ:pkmn夢 , オリトレ , 夢小説
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:綿雲しぃぷ | 作成日時:2023年6月27日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。