【ポケモン】命儚し愛せよ乙女IV〜いずれにしても彼女は駑馬〜 (ページ39)

今日:8 hit、昨日:0 hit、合計:2,368 hit

❦六話：カンムリ雪原への特急列車ページ39

❦**❦

　キバナの住むマンションのベランダから飛び降り、アーマーガアに［へんしん］したメタモンの背に乗って夜空を飛行したアイビーは、ナックルシティの宝物庫付近にある公園のトイレの屋根に着地した。アイビーが静かに屋根に着地すると同時にメタモンはアーマーガアからサーナイトへと［へんしん］して、同じように屋根に着地した。アイビーはメタモンの頬を優しく撫でて、唇にキスをする。それは皮膚を触れ合わせるだけのキスだったが、メタモンはアイビーの熱を感じ取った。

(酔っ払い)

　吐き捨てるように指摘すれば、アイビーは「えへへ」と笑いさして反省した様子も無い。

(男の部屋で酒を飲み交わすなんて、どうかしてる)

「友達の部屋で酒を飲むぐらい普通じゃないか。それより、夜行便、今ならまだ間に合うよね？」

(あぁ。丁度一便、あと10分後に)

「10分？大変急がなくちゃ！切符買わなくちゃだよね！？」

(切符は既に買ってある。スマートフォンの中にデータとして入っているから、改札の読み取り部にスマートフォンをかざせ)

「分かったぁ。あ、荷物！メタモン荷物取ってこなきゃ！取ってきて！」

(分かってる。お前は駅の自動販売機で水を買って飲め。俺が来るまで、ベンチに座って待ってるんだ。フラフラどこかに行くなよ？特に、知らない奴にはついて行くな)

「も〜メタモンったら心配性ぉ〜」

　アイビーはケラケラと笑ったが、メタモンがすぐに［テレポート］を使ってホテルへと消えたから、アイビーも屋根から降りてナックルシティ駅へと向かうことにした。

　アイビーが降り立った公園にはバトルフィールドが設置されており、日中はポケモントレーナーがバトルを行う交流の場として活気づいている。しかし時刻は深夜の11時を過ぎている。そのため大体のポケモントレーナーは公園から去っており、たむろしているのは所謂(いわゆる)“不良”と括られるような青少年達だけだった。そんな彼等はアイビーを見てなにかヒソヒソと話している様子だが、アイビーは気にせず彼等の横を通り過ぎ駅に向かった。